室町時代後期に京都で創業した老舗・虎屋に、和菓子文化の伝承と創造の一翼を担うことを目的として1973年に創設された「虎屋文庫」があるのをご存知でしょうか? 同年よりギャラリーにて、歴史やアートなどさまざまな切り口から和菓子の魅力を紹介しています。
ビルの建て替えに伴い、展示を3年お休みすることから、今年は初回から現在まで、開催された77の展示を振り返る大回顧展、休館前の特別企画「虎屋文庫のお菓子な展示77」を5月20日から開催しています。
本展では、過去に人気のあった展示を思い出の品々と振り返ります。そのひとつ、過去に5回も開催された「源氏物語と和菓子」展は、美しい和紙をつなぎ合わせた「料紙」と和菓子を組み合わせて、源氏物語の世界を表現しました。写真は料紙と『若紫』。数ある展示の中でも屈指の人気は、さすが光源氏! 和菓子を通して平安時代へ思いをはせるなんて、すてきですね。
料紙:片野孝志
‘06年の「和菓子アート」展は、五感の芸術とも言われる和菓子を題材に、和菓子をかたどった木製の玩具や、ミニチュア和菓子のほか、現代アーティスト・森村泰昌氏が制作した作品を展示しました。食べるだけに留まらない和菓子の可能性を提示してくれます。
他に、「歴史上の人物と和菓子」に注目した展示も、過去に何度も扱った人気のテーマ。今年は琳派400年記念祭が行われていますが、虎屋には絵師・尾形光琳が虎屋に和菓子を注文した記録が残っているのだとか! 今回は光琳のパトロンであった商人、中村内蔵助に贈った『色木の実』(本記事トップの写真)と『友千鳥』が展示されます。美の巨匠が、どんな和菓子を選んだのか、とっても気になります。
04年に行われた「占い・厄除け・開運菓子」展の際に限定販売菓子として考案された『招福袋』『宝来袋』(各486円・税込・下の写真)も、今回の展示を記念して赤坂本店と銀座店で販売されています(販売は10:30~)。目で楽しんだ後は、舌で楽しんでみてください。
ちなみに、展示される和菓子は基本的に全て本物ですが、レプリカと見間違える人もいるそうです。和菓子が好きな人はもちろん、歴史やアートに興味のある人も、ぜひこの機会に足を運んでみては?
■虎屋文庫のお菓子な展示77
期間=6月16日(火)まで
時間=10:00~17:30
住所=東京都港区赤坂4-9-22 虎屋ギャラリー(とらや虎屋赤坂本店の虎屋ビル2階)
料金=入場無料