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MGMT『MGMT』最新作インタビュー/来日公演決定

全米2位/全英4位に輝いた2nd『コングラチュレイションズ』に続く3年ぶりのセルフタイトル作を発表したMGMT。ダフト・パンクからもその音楽を高く評価される彼らは、コンバース100周年キャンペーン・モデル、“プチバトー”のイメージ・キャラクター、グッチのメンズウェア・ファッション・ショーがMGMTに捧げられる(MGucciMT)など、ファッション界からも注目を集める存在だ。最新作についてのインタビューと待望の来日公演情報を届けする。

MGMT3rdOfficalBandPhoto13byDannyClinch

 

前作『コングラチュレイションズ』は、ファンの間でもマスコミでも、いい意味でリアクションが分かれる作品でしたよね。一連の論争を今振り返って、どんな風に感じますか?また、そういった前作を巡る状況は、サード・アルバムに向かうあなたたちのアティチュードに何らかの影響を与えましたか?

 

ベン・ゴールドワッサー 前のアルバムは、みんなが言うほど挑戦作でもエクスペリメンタルでもなかったと思うんだよね。賛否両論、特に批判が出てくるのは、複数アルバムを出したアーティストの宿命なんじゃないかな。そう思って、そういう意見にはあまり耳を傾けないことにしたんだ。そんなのは無視して、音楽を作ることによって前進していこうってね。作る過程を楽しんで、人の言うことなんか気にしないことにしたんだ。アーティストとして、そういう反応を心配しすぎるのもどうかと思うしね。一旦世に出ると、その曲が独り立ちするまでには時間がかかるものだから、出てすぐの反応を気にしても意味がないと思うんだ」

 

前作は、アンドリューがレコーディングで滞在したマリブでハマったという「サーフィン」と「海」からの影響が全体に流れていましたが、今作で一番影響をうけたものは何ですか?

 

アンドリュー・ヴァンウィンガーデン前作を作っていたのはサーフィンを覚えたての頃だったけど、実際どのくらい音楽が影響されたかは今となっては分からないな。ただ、サーフ・ロックと繋げて考える人たちもいたね。今回は何か特定のものに影響を受けたというよりは、その場その場で自分たちから湧き出てきたものを音にしたという感じなんだ。テーマも特にあった訳じゃなくて、日常生活に即したものが多いかな。日常生活がいかに奇想天外になり得るかを曲にしたって感じだね」

 

 今作をセルフ・タイトルの『MGMT』と名付けることは随分前から決めていたそうですが、3作目にしてセルフ・タイトルにした理由は?

 

アンドリュー「うーん、分からないなあ。ちょっと陳腐にしてみたかったというのはあるけど。ファーストじゃなくて3作目やそれ以降にセルフ・タイトルのアルバムを作るバンドはいっぱいいるから、そういうので遊んでみたような感じかな。最初はジョークで始まったんだけど、最終的には辻褄が合った気がする。今回の音楽の作り方は、大学時代のときと似ているからね。ちょっとルーツに戻ったみたいな。それに、今回は他人にどう思われるとかそういうのをあまり心配しないで、思いつくままに楽な気持ちで音楽を作れたから、自分たちがそのまま出ているような気がするんだ。僕たちのありのままの姿が出ていると思うよ」

 

今作で、1stアルバム『オラキュラー・スペクタキュラー』時のようにアンドリューとベンの2人でレコーディングを行い、MGMT名義も2人に戻った理由は何ですか?

 

アンドリュー「単に、前回とは違ったクリエイティングを試してみたかっただけなんだ。前回の目的はフル・バンド・サウンドを作ることだった。もっとトラディショナルな、フォーク・ロックにも近いようなね。今回はベンと僕のインプロヴィゼーションから始まって、2人でハッピーな音ができたんだ。最近2人だけでやってなかったけど、今はこのやり方がナチュラルで心地いいと思ってね」

 

 

今回セルフ・プロデュースは考えなかった?また今回もまたDave Fridmann(デイヴ・フリッドマン)と組んだのはなぜですか?

 

ベン「 前の2作のアルバムでもデイヴには関わってもらっているけど、もっとミキシング的な役割だったんだよね。今回はプロデューサーとして僕たちの作ったものに意見をしてもらったりはしたけど、このアルバムにはセルフ・プロデュース的な側面もあるんだ。自分のサウンドを自分で手がけているという自負もあったしね。アレンジなんかも自分たちでやったし。第3者に入ってもらってよかったのは、僕たちのような当事者よりも作品から距離を置いて、俯瞰的な視点で見て(聴いて)もらえたことだね。そうして客観的な意見をもらうことができたんだ」

 

 

本作の厚く緻密な曲はどう構築したのですか?今回のあなたたちのソングライティングのプロセスを教えて下さい。

 

ベン「今までとは結構変わったかな。今回はインプロヴィゼーションを多用して、あまり自分たちをコントロールしないようにしたんだ。今までは結構コントロールしていた感があるけど。今回は偶然の産物を大切にしたから、最終的にもいっぱい入ったよ。僕たちにとってはよりエキサイティングなプロセスになったね。今までは楽しい実験とソングライティングを分けていたけど、それを一体化させたような感じかな。その方が面白かったよ」

 

先行シングル”エイリアン・デイズ”は「頭の中に住みついたエイリアンに支配されている感じ」を表現した曲とのことですが、本作『MGMT』を通して表現したかったことは何ですか?

 

アンドリューあの歌は頭の中に住み着いたエイリアンよりも、僕たちの多くに共通している感情を歌ったものなんだ。実際に起こっていることなのに現実味がない気がすることだったり、旅をしているときに味わうよそ者的な感覚とか。色んな解釈の仕方があると思うけどね・・・ もしアルバム全体にテーマがあるとしたら、その時その時を実感を持って生きることかな。現実逃避主義じゃないんだ。いいことも悪いことも、現実として受け入れるってことだね」

 

 

1stシングル”ユア・ライフ・イズ・ア・ライ”はどんなことを歌っているのでしょうか?

 

アンドリューあの歌にはポジティヴなメッセージがあるんだ。上から目線というよりも、誰にでもある感情なんだけどね。誰が決断を下しているのか、どうしてなのか・・・ 支配する側の人々が、人間性のいいところと足並みを揃えていないようにこっちが感じることがある。その気持ちを相手にぶつける、そういう感情を歌った歌なんだ。そんな気持ちになった人がこの曲を聴いて、力をもらった気になってくれるといいね」

 

 

最近ダフト・パンクが「ここ数年で最も影響をうけているアーティスト」としてMGMTの名前をあげたことが話題になっていますが、貴方達がここ最近で一番影響をうけた(または気になっている)アーティストは誰ですか?また、本作のレコーディング中に良く聞いていた音楽があったら教えてください

 

アンドリュー ダフト・パンクがそんなことを言ってくれていたなんてすごく嬉しいよ。ハイスクールや大学の頃よく聴いていた人たちだし、影響を受けているからね。すごくクールなことだと思う。今回はすごく幅広く聴いていたね。僕自身は前よりエレクトロニック・ミュージックをよく聴いたな。ジ・オーブ、オウテカ、あとはアンダーグラウンド・レジスタンス(注:アメリカのテクノレーベル)なんかを聴いてたよ。エレクトロニックやハウス・ミュージックの勉強をしようと思って、ベーシックなものから色々聴いた。そういうのが影響していると思うね」

 

 

MGMTはファッション・カルチャーでも高い人気があり、今までCONVERSE100周年キャンペーン・モデルを務めたり、フランスのファッション・ブランドPETIT BATEAUのイメージ・キャラクターに選出されたりしていますが、貴方がいま一番気に入っているブランドは何ですか?

 

アンドリュー最近はブランドよりもヴィンテージものの方が好きなんだよね。古着屋なんかによく行ってる。ニューヨークに行きつけの古着屋が2軒あるんだ。でも、特に何のブランドが好きというのはないな」

 

 

新作と再来日を楽しみに待っている日本のファンへメッセージを。

 

アンドリュー早く日本に行ってショウをやりたいね。日本はいつ行っても楽しいし、街を散策する時間があるときは特に楽しいんだ。できれば来年初頭くらいにはそっちに行きたいね。それまでにみんなにこのアルバムを聴いてもらえたら嬉しいと思ってるよ」

 

 

 

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