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「こどものきもち」vol.3 近藤麻由 (PUNKADELIX)

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——そして、昨年に今の旦那さんと結婚して今年1月に出産。結婚してから赤ちゃんができるのも早かったですよね? 

近藤麻由「そうですね。早く子どもを作ろうという感じではなかったんですが、できたらいいよねぐらいな気持ちでいたので」

——妊娠中もかなり仕事してましたよね。 

近藤麻由「妊娠8ヶ月の頃にAIRで4時間のセットやりましたよ(笑)。お腹に赤ちゃんがいると、DJやっている気分もいつもと少し違って、すごく気持ちよかったです。『これも胎教だ』なんて言いながらやってました(笑)。臨月になっても撮影でロケに行ったり、ギリギリまでDJやったりしていましたね。結局、予定より2週間ほど早く生まれたので、仕事の整理がつかなくて産婦人科の病室で色校正やるようなことになってしまいましたが。まあ、撮影中に生まれてなくて良かったな、と(笑)」

——子どもが生まれてからの生活はどうですか。

近藤麻由「生後一ヶ月までは完全に休んで、子どものことはもちろん私自身の体を回復させることに集中していました。その後は事務所や撮影現場に行ったり、DJも少しずつ再開しました。最近ようやく夜ぐっすり寝てくれるようになりましたが、三ヶ月くらいまでは夜も3時間ごとに授乳をしていたので、仕事に集中するのは難しかったですね。よく周りの人に仕事の復帰早いねって言われますが、特に大きなストレスは感じていないから自分にとっては良いバランスなのだと思います。でも基本的には子どもと向き合う時間が一番の中心で、子供から色んなことを学んでいるし、本当に新鮮な毎日を送っています」

——“子育てはクリエイティヴ”といわれることがありますが、近藤さんはどう感じますか?

近藤麻由「考え方にもよると思うのですが、子どもを育てること自体をクリエイティヴというふうにはとらえていません。自分の子どもの人生をクリエイトするというような気持ちはないし、そもそもそんなことできませんからね。英才教育みたいなものにも興味はないし。きっと子どもは子どもで私が知らないところで勝手にいろんなことを学んでいくでしょうし、私と同じように勝手にいろんなことをやっていくんだと思います。ただ、私の両親が私にしてくれたようにいろんなものに触れるきっかけを作る手助けはしてあげたいですね。この間は一緒にマグリット展に行ったんですよ(笑)。もちろん、まだ何もわかっていないですが、いずれ何か感じるものが出てくるんじゃないかなって気がしています。あと、子どもが生まれたことでひとりの人間と出会って一緒に新しい物語を作っていくという感覚はありますね。夫も含めて、家族として何か新しいものを作っていくという意味ではクリエイティヴ感もあるのかもしれません」

——子どもの存在から自分の仕事にフィードバックされるようなことはありますか?

近藤麻由「まだ生まれて四ヶ月なので、それはこれからかなって感じです。最近は、私が起こしたアクションに対して笑ったり、真似したり、いろいろな反応が出てきたところで、一緒にいてすごく楽しい。こういう気持ちがこれからの仕事に活きてくることもあると思います。これまでも子どもブランドの仕事はいろいろやってきましたが、改めて子どもと関わる仕事をやっていきたいなと思うようになりましたし、面白い企画も考えられると思うので、そんな新しいこともチャレンジしていきたいですね」

——最近は働きながら子育てをする人が増えていますが、環境が大切になってきます。近藤さんはどうお考えですか。

近藤麻由「仕事しながら子育てをして、さらに一緒に遊ぶこともできるような環境がもっと整ってくれるといいですね。さまざまな問題で子どもと仕事を両立する事が難しいお母さんは私の周りにも沢山います。でも仕事があるから子どもは……みたいな感じでどちらかを諦めてしまうのは、やっぱりもったいないと思うんです。私自身も子どもが生まれたらDJもあまりできなくなるだろうし、仕事も前と同じようにはいかないのかなと思っていました。確かに大変だけど今は仕事を続けていけるように色々模索しながら何とか両立し始めたところ。環境が変わったことで仕事へのスタンスも少し変化が出て来たりして、これまでのようにDJの現場に出る時間が減った分、その空いた時間を使って自宅で曲作りをするといった新しいことも始めたり。それはもちろん、夫や周りの協力あってのことですが。そして、仕事のことだけじゃなくて大人が子どもと遊びを共有できる場ももっと増えていったらいいなと思います。最近は親子で楽しめる音楽のフェスなんかもいろいろあるのでもう少し大きくなったら一緒に行ってみたいです」

近藤麻由 (PUNKADELIX)

アートディレクター、DJ。フリーランスのアートディレクターとして、 主にファッションブランドやCDジャケットなどのヴィジュアル撮影のディレクション、 グラフィックデザインを手掛け国内外に於いて活動している。 2010年より自身によるインディペンデント誌”RUBYPAPER”を発行し、 2014年10月に第4弾となるissue04を刊行した。 また『PUNKADELIX』名義でDJとしての顔も持ち、 Techno・Houseをベースに幅広い選曲で独自の”DARK&POP”サウンドを展開。東京をベースに幅広いシーンに於いて音楽活動を続けている。 2012年3月にオフィシャル・ミックス「ELECTRONIK BEAT PUNK」をリリース。

http://eyescream.jp/tyo/author/mayu/

http://www.thevoice.jp/home/mayu-kondo 

https://www.facebook.com/Punkadelix

 

撮影 中野修也/photo  Shuya Nakano

インタビュー・編集 桑原亮子/interview & edit  Ryoko Kuwahara

文 橋富政彦/text  Masahiko Hashitomi

 

 

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