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『夫婦フーフー日記』佐々木蔵之介×永作博美インタビュー

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17年という長い友だち期間をへて、ようやく結ばれた「ヨメ」と「ダンナ」。結婚1か月目に早くも子どもを授かるが、その5か月後、ヨメに悪性腫瘍が見つかってしまう。治療しながらも出産した彼女は、ダンナと二人三脚で怒濤の“育児&闘病生活”を始めるが、やがて旅立ちの日が近づいて──。佐々木蔵之介と永作博美が共演した映画『夫婦フーフー日記』は、実在の夫婦をモデルにした感動の物語だ。原作は、闘病ブログから生まれた「がんフーフー日記」(小学館刊)。笑いと涙が詰まった“493日の記録”を映像化するにあたり、若きコメディーの名手・前田弘二監督と脚本家・林民夫は、「死んだはずのヨメがダンナの前に現れて、共に過ごした時間を振り返る」というファンタジーを付け加えた。どうしようもない悲しみや切なさと、フィクショナブルな仕掛けがもたらす独特のユーモア。2つの要素が交差する世界観に、主演の2人はどう向き合ったのか? 役者としての思いを語ってもらった。

 

──『夫婦フーフー日記』、完成版をご覧になっていかがでした?

佐々木「シンプルな感想ですが、『あ、すごくいいな』と思いました。自分の出演作を観てそんな風に素直に楽しめることって、実はあんまり多くないんです。やっぱり、どこか冷静には観られない自分がいますので。でも今回は、1つの画面内に今の自分と過去の自分が同時に存在しているシーンがたくさんあったりして、撮影の手法自体がかなりチャレンジングだったでしょう。現場でも『一体どんな仕上がりになるんだろう』って、内心ドキドキしてた部分が大きかったんですよ(笑)」

永作「本当にそうでしたね(笑)。それが完成した作品を観たら、とってもいい感じで混ざり合っていて……」

佐々木「そう。『なるほど、こんな風に作ってくれたんだ』って、感心したんです。もちろん、描かれているテーマ自体は悲しいことなんですけど、ただ泣けてしまうだけじゃなく、笑いとかオカシミとのバランスもすごく素敵で……。出演者の僕が言うのも何ですが、いい映画になって幸せだなと」

永作「うん。観終わった後で、不思議な充実感があるんですよね。『あー、面白かった!』と笑顔がこぼれてるんだけど、でも同時に涙も溢れてる──みたいな。こういう作品って珍しい気がします。あと私は、映画全体に流れるフラットな感覚もすごく好きでした。今回、私が演じさせてもらったユーコさんは、出会って17年目でダンナさんと結ばれ、入籍1か月後に子供を授かったと思ったら、すぐガンが見つかってしまう。言ってみれば、怒濤のような人生を送られた方です。普通の作り手なら、彼女の人生をじっくり丁寧に描いていくと思う。だけど『夫婦フーフー日記』の中で流れている時間はどこかリアルというか……日常そのままという印象を受けたんですね。私にとってはそこが大きな魅力でした」

佐々木「しかも上映時間が97分と、今のスタンダードと比べると短いでしょう。それがまたいいんですよね!」

永作「本当にそう! 怒濤の夫婦生活があっという間に終わってしまう儚さというか、『時間って限られてるんだな』って実感させてくれる。そこも印象的だと思います」

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