―ちゃんと自分の中から生まれてきたものを嘘なく出す。
RIKI「世の中の人達も最初はそうだと思うけど、それを人に届けたいっていう自分の欲求が勝っちゃうから、その間に色んなことが起きる。だけど今回のことに関してはすげー頭のイカレた大人に出会えた。広島の神鳥さんって人が、『音に関しては俺からは一言も何も注文はないから好きにやってくれ。それをヴァイナルにすることが俺の使命だ』って言って、何も言わずに全てのことをオッケーしてくれた。そんな人と出会えたっていうことが、何よりも俺たちの音を祝福してくれたというか。『そんなに素晴らしいことってあるの?』っていう」
Jan「ある意味このアルバムの核にある精神っていうのは、神鳥さんが作り上げた純粋な魂なんじゃないかなと思う」
―呼応し合うものだと思うけどね。神鳥さんがRIKIとかJanのことを好きだと思ったのも、そういうピュアさを感じたからだと思うし、2人がそこに預けようと思ったのも、神鳥さんにピュアさがあったからだと思うし。
RIKI「実際カタチになるとすごい嬉しい……」
―実感がこもっていたね(笑)。
RIKI「良かった、これでひと段落だねって」
―(チャールズ・)ブコウスキーみたい。郵便局員で新聞にちょっと書いていた人が、いきなりブラック・スパロー・プレスの人に『毎月500ドルしかあげられないけどとりあえず好きなもの書け』って言われて、そこから出版して酒飲んで好き勝手書いて、広がっていった。特に詩とは違って音楽って1人じゃないから、一緒に作っていくというのも大事だし、巡り会いは大事だと思う。
Jan「アランさんはそういう商業システムの中で仕事もするけどブレない芸術に対する信念を持っているということにおいてうちらの希望になっている」
―まあギリギリ続けられているところだけが唯一ほっとできるところだけどね。
Jan「朝4時の赤裸々な話(笑)」
―酒がだいぶ足りないじゃん(笑)。でも偶然は繋がっているよね。RIKIとはNeoLのブログをあんまり更新してない仲間なんで(笑)。たまたまCALLASで飲んでいる時にそういう話になって。
Jan「最初、それで2人は繋がったよね」
RIKI「そうだ」
Jan「『お前、あれ書いてんの?』みたいな」
RIKI「そうそう」
―いい奴じゃんって。その話をJanにして、たまたまそこから自然とね。頑張りすぎずに、いい感じに無理なくみんな楽しめることをしようよみたいな。そのまま色んなふうに繋がっていっているじゃん。二人とも基本ギターとベースで曲を作っている気はするんだけど、ギターでこだわったことはあったの?
Jan「最初の流れはHIDAKAがギター弾いて俺がベース弾くみたいな感じで自然と。前録った時もそうだった」
―でもそこからプラスアルファでギター弾いていたり。
RIKI「シンセをリヴァーブしたり」
Jan「その時めっちゃシンセにハマっていた(笑)」
―シンセいっぱい入れているよね(笑)。
Jan「入れている。HIDAKAはすごくギターにこだわっていたけど」
―シタールのやつも。
Jan「あれは長岡さん(亮介/ペトロールズ)のやつなんです。長岡さんがシタールギターを貸してくれて。入れると、っぽくはなるけど、ぽさなんてあれだけで簡単に出せる。だからルールだけわかっていれば」
―しかも、あれ、ぼくが詞の朗読をさせてもらった「Alain The Thinker Dub」の時も、テレキャスがレコーディングする前にいきなり弦切れたよね。で、シタールでいくってなって。それもすごい自然な感じだったよね。
Jan「あのレコーディングで一番楽しかったのがミックスの時で。リー・ペリーじゃないけど、ミックスダウンしながら三人でフェーダーを持ってっていう……(笑)」
(後編へ続く)
写真 依田純子/photo Junko Yoda
文 アラン・ボスハート/text Alain Bosshart
編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara
Jan Shotaro Stigter and Riki Eric Hidaka
『DoubleHappiness In LonesomeChina』
(STEREO RECORDS)
2015年4月18日RECORDSTOREDAY2015オフィシャルアイテム
https://soundcloud.com/stereo-records/alain-the-thinker-dub
https://soundcloud.com/stereo-records/superjockey
ヤンによるレコード全曲PVも公開!
A面全曲のPV:
https://www.youtube.com/watch?v=IiCmfvM8MfA
B面全曲のPV:
https://www.youtube.com/watch?v=q6cpMIg6sPw
★Jan
http://janphilomela.tumblr.com/
1990年5月4日・東京都出身
GREAT3、jan and naomi、The Silenceなどのグループで活動中。
演奏、歌唱、作詞、作曲はもちろん、映像制作やアートワークも手掛けるミュージシャン。
jan and naomiはこれまで7inchシングル「A portrait of the artist as young man/time」、EP「jan,naomi are」を発表し、最新作にINO hidefumiと配信ライブアルバム「Crescente Shades (24bit/48kHz)」がある。米DRAG CITYレーベル よりThe silence 1st album 「THE SILENCE」が3月25日に全世界リリース。Stereo RecordsよりRiki Eric Hidakaとの共作 「DOUBLEHAPPINESS IN LONESOMECHINA」を4月18日にリリース。
★Riki Hidaka
http://rikihidaka.com
http://www.stereo-records.com/label/rikihidaka/
91年生まれ、ギタリスト。自主制作のアルバムを今までに3枚発表(いずれも非売品)。14年レコードストアデイにセカンド・アルバム「POETRACKS」の12インチを広島のStereo Recordsからリリース。2015年4月18日にはJan Shotaro Stigterとの共作アルバム「Double Happiness In Lonesome China」をStereo Recordsからリリース。