——ホントに振り子のようなアーティストだなと思う。
Salyu「ね。特にソロの曲を聴いて感じたんだけど、竜人さんの歌のなかには“僕とあなた”という関係が厳然とあるんですよね。それは清 竜人25にしても、思うところがあって。だって、アイドルって大きな1に対して語りかけていく役割を担ってると思うから、そこにも竜人さんの厳然とした“僕とあなた”があると思うんですよ。曲を聴いていて、ものすごく強い1対1の繋がりを知ってる人だと思った」
清「ここ最近はいわゆるメッセージ性みたいなことを考えて曲作りしたことがなくて。デビューのころ——それこそ弾き語りをやっていたときは余計な音が入ってない分、歌詞が重要でした。でも、ここ2、3年で作ってる作品はそういうものじゃなくて、音楽的にも情報過多で、歌詞に耳がいかないといったら変ですけど、どちらかと言ったら音楽的だったり文化的な側面で捉えられるものを作ってる時間が長くて。それはいわゆる内省的に吐露するような曲ではないんですよね。で、そういう曲を書いてるときの自分が思い出せないんですよ」
——ああ、思い出せないという感覚なんだ。
清「そうなんですよね。そのころはそのころで何かしら考えて、そのときそばにいた相手について歌っていたと思うんですけど。そのときの感覚を思い出せないんです。その思い出せない感じ——音楽的な記憶力のなさが、僕の作品性がコロコロ変わる要因になってると思うんですけど」
——でも、今後、内省的な作品を作る予感はあるんですか?
Salyu「それについて聞きたい!」
清「あります。たとえば8枚くらいアルバムを出したら、また1枚目に戻ってみたいな、歴史と一緒でいろいろループすると思うんですよね。いくらいろんなアウトプットがあると言っても、ひとりの人間の引き出しって限られてると思うんです。だから、限界まで行ったらまた振り出しに戻るのかなって」
Salyu「すごく貴重な発言が聞けたね」
——ね。せっかくだから訊きたいんですけど、もし竜人くんがSalyuさんをプロデュースすることになったらどういう曲を書きますか?
Salyu「気になる(笑)」
清「勘弁してくださいよ(笑)。おこがましいです。とりあえずASA-CHANGを呼びます(笑)。で、ラップとかしてもらいたいかな」
——超いい。
Salyu「おもしろいかも」
清「声が素敵だとヒップホップも映えるんでね」
——それ、マジで聴きたい。
清「ポエトリーリーディングでもいいですよね」
Salyu「ああ、やったことないな。ラジオとかで詩を読む機会とかはあったと思うけど、音楽のなかでポエトリーを表現したことはない」
清「僕は中島みゆきさんが好きなんですね。みゆきさんに“元気ですか”という曲があるんですけど、あの曲ってみゆきさんがただしゃべってるだけなのにすごく音楽的なんですよ」
——salyu × salyuのアプローチを思えばポエトリーだって成立すると思う。
Salyu「ああ、そうかも。おもしろい。新しい提案かもしれないね。私の音楽人生のなかで今、強く思っているのが、とにかく自分が歌う意味のある歌にもっともっと出会いたいということ。これから歳を重ねて身体も衰えていくし、その流れのなかで確実に歌も変わってくるから。でも、私はそれを自分の価値にしないといけない。音楽は肉体が衰えたらそれでおしまいというスポーツの世界とは違うから。衰えていく自分も価値にしないといけないんだよね。そう思ったときに今、一生涯追求できる表現のありかを探してるんです」
——竜人くんはどうですか? 一生涯追求できる音楽という意味では。
清「最終的にはフォークソングをやりたいです。それは、今の自分では無理だと思ってるから」
——それはどういう面で無理だと思うの?
清「感覚的にというのもありますし、やっぱりいろんな人生経験をしたうえでフォークソングの歌詞を書きたいと思うから。僕、高田渡さんがすごく好きなんです。でも、あの人のような歌はまだ書けないと思ってる」
Salyu「今後も竜人さんがどんな音楽活動をしていくのか楽しみにしてます」
プレゼント:Salyuと清竜人のサイン入りチェキを1名様にプレゼントします。
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ご応募お待ちしております。 後日当選された方にはいただいたメールアドレス宛にNeoL編集部よりご連絡させていただきます。
撮影 依田純子/photo Junko Yoda
文 三宅正一/text Shoichi Miyake(Q2)
編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara
Salyu
2000年、Lily Chou-Chouとして2枚のシングルと1枚のアルバムをリリースする。2004年、小林武史プロデュースのもとSalyuとしてデビュー。以降17枚のシングル、4枚のアルバム、1枚のベストアルバムをリリース。2011年には、「salyu × salyu」として小山田圭吾との共同プロデュース作品「s(o)un(d)beams」を発表し、数多くの海外フェス出演により国外でも注目される。2013年には「攻殻機動隊ARISE border:1 Ghost Paina」のED曲を担当し、大きな反響を呼ぶ。2014年はSalyuとしてデビュー10周年を迎え、リリースやライブなど精力的に活動。今年4月22日には5枚目となるオリジナルアルバムをリリース。現在、全国ツアーが開催中。
清 竜人
15歳からオリジナル曲を作り始め、17歳の夏に全国高校生バンド選手権「TEENS ROCK IN HITACHINAKA 2006」グランプリを受賞。2009年3月、シングル「Morning Sun」でデビュー。デビュー・アルバム『PHILOSOPHY』を同月リリースし、「第2回CDショップ大賞」準大賞を受賞。2011年4月には3rdアルバム『PEOPLE』をリリース。2012年5月にリリースされた4thアルバム「MUSIC」ではアニメ/ゲーム界のクリエイターとコラボ。2013年10月、6thアルバム「WORK」をリリース。2014年11月ベストアルバム『BEST』をリリース。堀江由衣やでんぱ組.incへの楽曲提供などプロデューサーとしても活躍。5月26日、27日に「清 竜人ハーレム♡フェスタ2015 Vol.4 ~バースデー♡パーティー2days~」を開催。