——しかし、最初に清 竜人25のコンセプトを聞いたときは「そうくるか!」と思いましたけどね。ハーレム状態な一夫多妻性アイドルっていうやり方があったかって(笑)。
清「僕は飽きっぽいけど音楽活動は続けたい、今までやったことのないジャンルの人たちと仕事したいという思いのなかで、こういうコンセプトを思いついたんですけど。まあ、もちろん下心もあるんですけれども(笑)」
Salyu「あはははは! いいね」
清「それはもちろんあるんですけど、やるからには自分の遊びだけでは終わらせずにそれをどういうふうに芸術的に落とし込めるかは曲を作るときに毎回計算するようにしていて。ただ女の子のアイドルをプロデュースするだけではおもしろくないと思ったし、そこにどんな味付けができるだろうと思って出てきたアイデアが一夫多妻制っていうコンセプトだったんです」
Salyu「その発想がいいよね。プロデューサーがフロントにいる。アイドル文化のなかでそれはなかなか見れない画ですよね」
——で、おもしろいのが、夫人たちには申し訳ないんですけど、結局竜人くんにばかり目が行くんですよね。まさに夫人たちは華になっていて。それもあらかじめ意図してたことなのかなって。
清「意図って言うほどのものではないですけど、やっぱり名義も“清 竜人25”なので。立ち位置としても、僕が前にいて、うしろに6人の夫人がいるべきだと思うんです。もちろん、メンバー各々の人気が高まっていくのはすごくいいことだと思うんですけど。パフォーマンスとして軸がブレるとおもしろくなくなってしまうから。やっぱり僕が軸にならないといけない。そうしないとモノ作りとしてよくならないと思うから。そこは意識しているというよりは、自然とそうなってるんです。それを踏まえて歌の振り分けやライブパフォーマンスのあり方も考えてますし」
Salyu「ホントにもう優れたプロデューサーだよね。私は『プロデューサー(小林武史)の第何夫人なんだろう?』みたいなところもあるから(笑)」
——あはははは! ちょっといじわるな質問をしていいですか?
Salyu「え、何!? いいよ!(笑)」
——小林さんがほかの女性アーティストをプロデュースするときってSalyuさんは嫉妬心を覚えたりするんですか?
Salyu「そりゃあ若干の焦りはありますよ。『私の提供曲より内容がよかったらどうしょう!?』とか思うわけ。こんなこと初めて言ったよ!? こんなこと誰にも言ったことない!」
清「あははははは」
——あえてもう少しそのあたりの思いを詳しく聞かせてもらっていいですか?(笑)。
Salyu「小林さんが誰々をプロデュースすることになったという話を聞いたときに——ほら、私の音楽人生にとって小林さんはとても大事な親みたいな人だから。だから、ほかの誰かをプロデュースするってなって、率直に『どうしてやることになったんだろう?』ってひとりで考えるわけ。誰かに話を聞いたりせずに。で、実際にその曲がリリースされたら聴いてみるでしょ。そこで自分なりに分析するんです。でね、これは本心なんだけど、曲がそのシンガーにピッタリだったら、私までうれしくなっちゃうんですよ。やっぱり小林さんの洞察力ってさすがなんだなって思う」
——いい話ですね。
Salyu「ただ、最初は『え?』ってなりますよね。でも、シンガーは誰もがプロデューサーにとってのいちばんになりたいと思ってるよ」