NeoL

開く

「こどものきもち」 Vol.2 渡辺俊美(TOKYO No.1 SOULSET)

toshimi2

——食を通して、自然と会話がつながっていくんですね。

渡辺俊美「そう。今は食事中のスマホが問題になってるけど、うちの子は食べるときは食べる。たまに録画したダウンタウンの番組とかを一緒に観ながら食べることもあるけど、会話を楽しくするためのテレビはいいと思うんですよね。そうやって息子も、ふたりでごはんを楽しむっていうことを身体で覚えてるんだと思います」

——一緒に食事をしながら、「あれ、今日はなんかあったのかな?」みたいなときはどうしてますか。

渡辺俊美「そういうときは息子がやたらと話しかけてきますね。僕も息子に興味があるから、いつも真剣に話をしました。ひとつ、自分の中で『こうだ』と決めてやったことがあるんだけど、小学4年くらいのときに、息子にゲームを買ってあげたんです。息子はそのゲームを友だちに貸して、それを友だちがなくしちゃった。それで学校内でケンカになって相手を怪我させて、僕が呼び出されたんです。そこで息子は正論を言うんです、『せっかくパパに買ってもらったのに、コイツがなくしちゃったんだ』って。でも僕は息子を責めたんです。『そんなに大事なものをなんで貸したんだ、貸したおまえが悪い!』って。息子はビックリしてました、パパは絶対自分の味方をしてくれると思ってたから」

——そうですよね。

渡辺俊美「でも僕は、『なくしちゃったものは仕方ない、それで相手を責めるのはナシ。おまえが怒るのもわかるけど、根本的にはおまえが貸したからこそ起こった出来事なんだ』と、先生のいる前でものすごく怒ったんですよ。当然、息子は納得いかない。それで家に帰ってから、『パパは友だちに大金を貸したことがあるんだ』っていう話をしたんです。『よかれと思って貸したけど、そのお金は返ってこないし、友だちにも連絡がつかない。ほんとは友だちを責めたいけど、でも貸した自分が悪いんだって思ってる。そのときパパは苦しんだから、おまえも本当に大事なものは人に貸しちゃだめだよ』って言いました」

——子どもをちゃんと大人の土俵に乗せたうえでの言葉ですね。

渡辺俊美「そうそう、子どもって成長したがると思うんです。だから対等に見てあげて、ダメなところはしっかり言う。そうすると、子どもも僕のダメなところを言ってくれるんですよね、『パパだってさあ』って泣きながら。そんなときは『ごめんな』って、何度も謝ったことがあります」

——親も間違いを認める……それが意外と難しいんですが(笑)。 

渡辺俊美「そうか(笑)、でもちゃんと謝ったほうがいいですよ。それと子どもがある程度大きくなったら、『中学を卒業したら、自分の道は全部自分で選べるよ』っていうことを、ざっくりでもいいので言ったほうがいいと思う。僕は息子が中3のときにそう話して、そのとき息子が『もう学校行かない』って言ったので、『いいよ』って言いました。自分で選んだことだから。『ただ、パパは高校時代めちゃめちゃ楽しかったから、行ったほうがいいよ』とは伝えましたけど、最終的には自分で決めさせた。そうやって自分で選択することを早めに覚えたほうが、真剣に考えるようになると思う。『パパは30過ぎまでだいたい人のせいにしてたけど、40近くになって、やっと間違いだって気づいたんだ』っていう話を息子にしました」

1 2 3 4 5

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS