―昨年のボーイズ・ノイズとのプロジェクト、オクターヴ・マインズで音楽的に追求したものとは?
チリー・ゴンザレス「ニュー・エイジのエレクトロニック・ロマンス」
―あなたの、音楽に対する“学び”の精神、音楽に対する知的好奇心の源泉は、どこにあるのでしょうか?
チリー・ゴンザレス「僕にとってはピアノの前が、長時間ひたすら没頭していられる場所だったんだ」
―昨年のグラミー賞では、あなたが参加したダフト・パンクのアルバム『ランダム・アクセス・メモリーズ』が最優秀アルバム賞を受賞しました。そして今年はプリンスがグラミー賞のプレゼンターを務めた際に、大変印象的な言葉を残しています。「皆、“アルバム”ってやつを憶えているかい?」と。ダウンロードやストリーミングが普及し、あるいは楽曲単位で音楽が聴かれるような状況の今、アルバムというフォーマットやパッケージを通じて音楽を届けることについて、意識されたり大事にされたりしていることはありますか?
チリー・ゴンザレス「アルバムが好きな人達のために、トラック・リスティング(曲順)の決定にはものすごく労力を注いでいるし、1曲目から最後の曲までを通しで聴くという経験を強く意識しているよ。思うに、こういったタイプの音楽は、シングル重視のラップ系アルバムやメインストリームのポップ系アルバムより、丸ごと通しで聴くのに適しているんじゃないかな。『チェンバース』にはシングル曲はない。1曲1曲、どれもが対等なんだ。 だけど、この曲とあの曲って感じで、つまみ食いするのが好きな人達のために――僕自身、どちらかというとこっちのタイプなんだけど――その人なりの『チェンバース』ベスト曲集を作るのは大歓迎だよ。もしやってみたかったら、自分でリミックスを作ったり、ドラム・ビートを加えたりするのもいいんじゃないかな」
―音楽作りのスタイルは、聴き手側のスタイルの変化に合わせて変わっていかねばならないと思いますか? また、音楽スタイルも変化すべきものでしょうか?
チリー・ゴンザレス「そういうのって自然に起きることだよね。天才的なミュージシャンは、オーディエンスのことをよく研究・観察している。でもそれからオーディエンスを新たなものへと導くんだ――そしてオーディエンスは大抵それについて行き、そしてその天才に次のアイディアを提供してくれるんだよ」
―ところで、あなたのお兄さんであるクリストフ・ベックが、ディズニー映画『アナと雪の女王』のスコアを手掛けた人物だということを、つい先日知りました。今や誰もが知る大ヒット作品ですよね。あの状況をどう見ていましたか?
チリー・ゴンザレス「兄のことは、すごく誇りに思ってるよ。彼は『The Unspeakable Chilly Gonzales』のオーケストラ・アレンジも手掛けてくれたんだ。素晴らしい人だし、素晴らしいミュージシャンだよ」
―あなたが手掛ける映画音楽も、いつか聴けたら嬉しいです。この先、音楽的にチャレンジしてみたいことはありますか?
チリー・ゴンザレス「まだ決めていないんだ」
文 天井潤之介/text Junnosuke Amai
編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara
CHILLY GONZALES『Chambers』
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Tower Records: http://bit.ly/1ILQlka