――でもパーソナルなものだからこそ、大勢に分かち合ってもらえるんですよね。
Chara「そう、私だからこそ出せるものなんだけど、共通点はあるんだなと思って。Charaだから出来るんだけど、共有出来ることがある。例えば、みんなが無力感を覚えている時に曲を書けるのかというと、書けないわけで、私みたいな人間が役割を果たしていたりする。だから、私の“シークレット・ガーデン”に咲く愛のお花をいかに出して行くかっていうこと。愛って、私もまだ良く分かんないけど、なんだかすごいもんだなってちっちゃい時から思っていて、興味があったの。で、そういう愛の物語をCharaらしくメロディに乗せるのが、“Charaプロ”は巧くなったんじゃないかな。自分らしく表現することが。決断も速くなったし、迷いが無くなったし。人と一緒に暮らす時には調和したり、譲り合うことが大事なんだけど、私というアーティストはソロだから、ある程度のワガママというか独創性が必要で、“いやいや、これでいいよ”って言えないと、そこに“プロデュース:Chara”と書いちゃいけないと思うし(笑)」
――じゃあセルフ・プロデュースすることで、曲を書き始めた時にあった想いと、完成した曲の間に隔たりが無くなった?
Chara「でも、それだとつまらないから、色んなパートナーに参加してもらってるわけ。8割は決まっているんだけど、そこから先は分からない部分があって、ほかのミュージシャンたちとセッションしたりしているうちに、プラスされて行く。そこはもちろん私も期待して、お呼びしています(笑)」
――パートナーたちのキャスティングはどんな風に進めたんですか?
Chara「基本的には友達しか呼んでいないかな(笑)。でも、ずっと気になっていたのにセッションする機会が無かったベーシストのキタダ マキ氏とは、今回やっとコラボが実現しました。彼と、以前から付き合いがあるドラマーの朝倉真司と名越由貴夫と、『せつなくてごめんね』を自宅で録音したんですよ。いつも家でちょっとレコーディングしているから、どこまで出来るか分からないけど、一度試してみたくて。3人に“ちょっと突然なんだけど明日はどうですかね”って訊いたらたまたま空いてて、“ラッキー!”みたいな。家にあるエレクトリック・ピアノは調整もしてなかったけど、ガリガリっていう感じも“いいね!”ってことにして。そうやって録音した音を、今回は結構使ってます」
――そういうレコーディング環境は、やっぱりサウンドに反映されますよね。
Chara「反映されるし、時間の使い方も変わる。スタジオだと光の変化も分からないから。“今何時だっけ?”とかね。天気のいい日に、そんなところに行きたくないじゃない? でも家だったら、いい天気だったり、雨が降っていたり、日が暮れてゆくのが目に入るし、“犬がじっと見つめてるわー”って思いながら弾いている時もあるわけで、面白いよね。“じゃあ今日は早めに終わってゴハンにして”ってことも出来て、集中力の使い方が違うような気がする。意識はしてないけど、家の場合はどこかにいいヴァイブスがあると思うな」
(後編へ続く)
撮影 吉場正和/photo Masakazu Yoshiba
文 新谷洋子/text Hiroko Shintani
編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara
Chara
『Secret Garden』
発売中
http://www.amazon.co.jp/Secret-Garden-初回生産限定盤-DVD付-チャラ/dp/B00R3NFFPW/ref=ntt_mus_ep_dpi_1
https://itunes.apple.com/jp/album/secret-garden/id962225831
Chara
1991年9月、シングル「Heaven」でデビュー。1992年の2ndアルバムでは日本レコード大賞ポップ、ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞を受賞。1996年には女優として出演した岩井俊二監督の映画『スワロウテイル』が公開され、劇中のバンドYEN TOWN BANDのボーカルとして参加して制作されたテーマソング 「Swallowtail Butterfly~あいのうた」が大ヒット。1997年のアルバム『Junior Sweet』は100万枚を超えるセールスを記録。2015年3月『Secret Garden』を発表。音楽的探求のもと、新たな作品を発表し続けている。
[Chara Concert 2015 – Secret Garden -]
3月31日(火):Zepp Sapporo(札幌)
4月3日(金):日本特殊陶業市民会館(名古屋市民会館中ホール)(愛知)
4月5日(日):Zepp Fukuoka(福岡)
4月7日(火):倉敷市芸文館(岡山)
4月16日(木):中野サンプラザホール(東京)