——早い時間のパーティーには子どもを連れて行ったりしていますよね。楽しそうなお子さんの姿が印象的です。
DJ DARUMA「でも子どもにとってはつまらないときもあると思いますよ(笑)。つい最近某美術館に連れていったときは、『わけわかんない』ってすごく退屈してそうでしたし(笑)。確かに難しかったかなって。そこはトライ・アンド・エラーでいろんなところに連れていって、子どもが一緒に楽しめるところを学んでいくしかないでしょうね。ただ、子どもたちにとっても幼いうちから、さまざまなカルチャーに触れられることはいいことだと思うんです。もちろん、言葉使いやマナー、ちゃんと人に挨拶ができるとか、嘘はつかないとかそういう人として当たり前の大切な部分をしっかり教えるということは大前提ですが、それを踏まえた上でいろんなカルチャーに接することが将来の糧になると思うし、なってほしい。様々なカルチャーに触れて育った僕らの世代の子どもたちが、大きくなったらまたいろいろと面白いことをやってくれると思うんです。きっと想像もできなかったような新しいものを生み出してくれそうで、それが楽しみなんですよ」
——子どもが生まれてから自分自身が変わったと思うことはありますか。
DJ DARUMA「少し前に、ケンドリック・ラマーのアルバム『Good Kid: M.A.A.D City』を歌詞の対訳を読みながら聴いていて感じたことがあるんです。あのアルバムはケンドリック・ラマー自身のそれまでの人生をモデルにした物語になっていて、スキットで母親や父親の留守番電話のメッセージが入ってくるんです。母親は『貸した車を早く返せ』みたいなことをずっと言っていて、父親は後ろで『オレのドミノゲームはどこだ』なんてことをわめいてる(笑)。でも、最後のスキットで父親がこんなこと言うんです。『“リアル”っていうのは、ストリートで仲間とたむろする事じゃ無くて、家族を守って子どもを育てて、責任を持つことにあるんだ』って。これは親になった今めちゃめちゃ共感することが出来ました。僕自身、子どもが生まれて自分の中の“リアル”という言葉の捉え方がすっかり変わったんですよね。家を買うのか買わないか、子どもの幼稚園をどこにしようか、小学校はどうする? そんなことが、今の僕にとっては“リアル”なんですよ。子どもたちが今後どんな道に進んでどんな人生を歩むかはわかりませんが、自立するまでは僕たち親が見ていかなくてはいけない。そのために何ができるのか。それが我々親にとっての“リアル”なんですよね」