―YouTubeとかで横におすすめ一覧が出てきて、自動的にそこに運び込まれるみたいなね。
アヴちゃん「うん、今はオートマティックで誰にでも親切な時代。でも女王蜂とか私はオートマティックじゃなくて、なんていうんだろう……面倒くさいじゃない?」
―わたしはその親切が怖い。思考停止するし、先が見えてたら感情の振り幅だって決まってしまうけど、そこを覆してくれるのがものすごく素晴らしいもので、そういうのは大抵面倒なんじゃないかな。
アヴちゃん「ずっと後頭部殴打されているようなアルバムだと思う。殴打っていうかこう、ヒュッヒュッて(笑)」
―耐えられない人は耐えられないですよね。
アヴちゃん「しかもポップに耐えられない!(笑)」
―私も持って行かれすぎて、ちょっと息を整えさせてくださいって意味での耐えられなさはありました。
アヴちゃん「ポップだからそうさせたんだよ。エキセントリックな感じなら、ああエキセントリックねって感じに流せるけど……自分が見えちゃうんだと思う。昔、美輪(明宏)さんを叩いた人って、美輪さんにドキドキしていた人だと思うの。恋愛対象に見た人だと思うんだよね。そういう自分が許せなかったから叩いたんだよ」
―自分の中の羞恥だ。
アヴちゃん「そう。魔女狩りを最初に始めたのって魔女やと思うの。例えばジェンダーのことで言う時も、撲滅やとか手を挙げてひどいこと言ってる人は全部最初は自分がそうだったんじゃないかな。自分の中でそういう部分があってもそれを認められなかったり、そういう自分を出してる人が羨ましかったり、自分だけおいしく生きたいとか。みんなそうだと思うから、この作品が無理っていう人もいていいと思う。」
―『奇麗』というタイトルに関しても聞かせてください。”髪の毛”の歌詞では『綺麗』なのにタイトルでは『奇麗』の方になってて、そこに意味があるのか知りたくて。
アヴちゃん「”奇麗”の方でも通じるわけやんか。多分、綺は糸をつけて奇を希釈しんやなって思う。それくらい奇麗って、奇妙で麗しい、麗しすぎて奇妙っていうこと。美しすぎて周囲より頭1つ飛び出ちゃうくらいつらいことで、ある意味哀しいことでもあるというか。せやけど、それだけじゃ強すぎるから綺麗にして薄めたんじゃないかなと思って。でも自分が出すとしたら薄められないから、奇麗の奇にしたの」
―まさにアヴちゃんそのもの。
アヴちゃん「そうね」
―そして女王蜂そのものなのかもしれない。
アヴちゃん「有限だから、ポーズをとってる暇はないの。アルバムを出すということは、自分たちにとってどういうことなのか。SNSでいいねって言われるために作ってるわけじゃない。SNSって画廊やと思うの。1人1人がキュレーターというか。ずっと下ネタとか言う子、食べ物ばっかり載せる人とか、自撮りばっかり載せる人とかもそうやけど、今はセルフィー時代やん? 音楽を聴くことも自己ブランディングの1つだとして、今はそれが顕著な時代になってるわけよ。噂の誰かに会いました、とか。行ったことを人に言うことで初めて補完されるものがあるけど、みんなの歌を作るということは、補完という感じじゃなくて自分の中でずっと熱量高く持っておいて欲しいな。私自身もそんな風に音楽を聴いてきたし、もしよければそういう風に聴いて頂けたら嬉しいな、なんて思う。今を、自分をどういう風に見せたいとかを考えずに求めるメロディーでありたいし、元気になるものとか普遍性のある音楽でありたいと思う」
撮影 中野修也/photo Shuya Nakano
文・編集 桑原亮子/text & edit Ryoko Kuwahara
女王蜂『奇麗』
3月25日発売
◆初回生産限定盤<CD+DVD>
3,889円+税
*完全オリジナル映像作品「残酷」(DVD/収録時間:45分)
*アヴちゃんオリジナル小説「残酷」
*特殊パッケージ:紙ジャケット
http://www.amazon.co.jp/dp/B00TZ049VC
http://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?cd=AICL000002851
◆通常盤(CD ONLY)
2,778円+税
http://www.amazon.co.jp/dp/B00TZ041QA
https://itunes.apple.com/jp/album/qi-li/id967156563
http://www.sonymusicshop.jp/m/item/itemShw.php?site=S&ima=2845&cd=AICL000002853
女王蜂
2009年神戸にて活動開始。2011年3月に初の全国流通盤アルバム『魔女狩り』をリリース。同年9月、アルバム『孔雀』でメジャーデビュー。収録曲“デスコ”は映画『モテキ』のメインテーマに抜擢され、映画にも出演した。2012年5月、メジャー2nd『蛇姫様』をリリース。2013年2月より約1年間の活動休止期間を経て、2014年より女王蜂の活動を再開することをアナウンス。2月22日に渋谷AXで復活ライヴ「白熱戦」を行い、その後単独公演「灼熱戦」を各地で開催。2015年1月スタートのテレビ東京系ドラマ「怪奇恋愛作戦」のオープニングテーマを担当することでも話題に。NHK「あさイチ」に出演し、世代を超えた新たなファンも獲得。2015年4月より『奇麗』リリースツアー「女神たちの売春」を敢行。
「女神たちの売春」
2015年5月17日(日)札幌PENN YLANE24
〔問〕マウントアライブ 011-211-5600
チケット発売日:4月11日(土)
2015年5月20 日(水)名古屋Electric Lady Land
〔問〕JAILHOUSE電話 052-936-6041
チケット発売日:4月11日(土)
2015年5月22日(金)大阪・umeda AKASO
〔問〕YUMEBANCHI 06-6341-3525
チケット発売日:4月11日(土)
2015年5月24日(日)福岡DRUM Be- 1
〔問〕キョードー西日本 092-714-0159
チケット発売日:4月11日(土)
2015年5月31日(日)広島Cave-Be
〔問〕YUMEBANCHI(広島) 082-249-3571
チケット発売日:4月18日(土)
2015年6月5 日(金)仙台MACANA
〔問〕ジー・アイ・ピー 022-222-9999
チケット発売日:4月18日(土)
2015年6月27日(土)東京・赤坂BLITZ
〔問〕DISK GARAGE 050-5533-0888
チケット発売日:5月23日(土)
チケットオフィシャル第二次先行受付】 ※抽選制
■オフィシャル先行
【期間】3/25(水)12:00~4/2(木)18:00 【URL】 http://eplus.jp/zv15/ (PC・携帯・スマホ)