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The SALOVERS『青春の象徴 恋のすべて』インタビュー(後編)

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——そうですね。だから、とても切ないけど悲観的ではないというか。

古舘「ただただ悲しいだけじゃなくて。“ニーチェに聞く”っていう4人で歌ってる曲は、やっと自分たちはこういう曲を鳴らして、歌えるようになったんだなって正直思ってるんですよ。実際問題、お先真っ暗な4人が、〈人生万歳! 僕らの未来は真っ暗闇のすばらしい世界だ〉ってあっけらかんと歌うのは、悲しそうに歌うよりもグッとくるなと思って」

——そういう感覚になれた古舘くんの音楽に向かう気持ちはこれからどうしていくつもりですか?

古舘「これからも音楽はやるとは思ってるんですけど——でも、僕はこの3年間、毎年『アルバムを出します』って言い続けてきた男なので(苦笑)。自分の心のなかでは今年中にはバンドサウンドでソロアルバムを作りたいという気持ちはあるけど、それを今ここで言ってもまた3年かかるような気もするし」

——じゃあ断言しないほうがいいと思う?

古舘「そう。言わないほうがいいかなって」

——でもね、古舘くんのようなリリシストはホントに希有だから。このアルバムを聴いてあらためてそう思いました。

古舘「自分のなかでは才能が枯れたって思ってたし、正直このアルバムは奇跡的にできたものだと思うんです。謙遜ではなく、今の自分の才能はゼロだと思ってます。マジでそう思ってる。だから今はまた歌詞を書ける自信はないし」

——でも古舘くんが音楽を続けることを望んでる人はたくさんいるからね。同業者も含めて。

古舘「昔から一般のリスナーよりもミュージシャンに好かれますね(苦笑)。熱心なファンがいてくれたこともありがたいです。でも、不特定多数の人に届いたかと言われると全然そんなことなくて。それは完全に俺に原因があると思うんですけど」

——それはどういうところだと自己分析してるんですか?

古舘「自分に対するコンプレックスだったり、生い立ちだったり、そういうところと向き合うのがへたくそだから。それがバンドの風通しの悪さに繋がってたと思うし、自分で門を狭めていた気がします。『みんなおいでよ』って言えなかった。そのくせバンドはやりたいし、寂しがりやだから。ホントはいろんな人に聴いてほしいと思ってるくせに自分で門を狭めてたんですよね。ファンにもずっと秘密を隠してるような、そういう罪悪感もありましたね」

——でも、歌ではさらけ出してたと思うんだけどな。

古舘「出してたとは思うんだけど、作品としてひとり歩きする強さがなかった。ハマ(・オカモト)くんにすげえ怒られたことがあって。一緒ンに飲んでるときにハマくんは『バンドがんばりなよ』って言ってくれてたんです。『まだやめるな』って。俺にとってのハマくんってホントに大好きな、唯一と言ってもいいくらい深い付き合いのできる年上の友だちで。ハマくんの意見は素直に聞いてきたんですけど、それでもバンドを続ける気になれなかった。そのとき僕が『いや、でもSALOVERSなんか……』ってちょっと自虐的な言い方をしたんですよ」

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