NeoL

開く

セイント・ヴィンセント『セイント・ヴィンセント』インタビュー

007

先日開催されたホステス・クラブ・ウィークエンダーに出演し、2日目ラストの大トリを務めたセイント・ヴィンセント。折しも、その1週間前に発表されたグラミー賞では、昨年リリースされた最新作『セイント・ヴィンセント』が最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバムを獲得。同アルバムを引っ提げての来日は昨年のフジ・ロックに続き2度目になるが、今回も高まり続ける評価にふさわしい見事なライヴ・パフォーマンスを見せてくれた。“葬式でかけても踊りたくなるようなレコード”というアルバムのコンセプト通り、ファンクやジャズのグルーヴが脈打つ躍動的なバンド・サウンドと、ムーグ・シンセを多用したドープなエレクトロニック・ビート。ステージではさらに、十八番のテクニカルなディストーション・ギターと、マリオネットのように身体を動かすエキセントリックなダンスがひときわ大きな喝采を集めていた。そんな彼女に、あらためてアルバムの背景や近年の活動、そして自身の音楽哲学について話を聞いた。

 

―先日のグラミー賞での最優秀オルタナティヴ・ミュージック・アルバムの受賞、おめでとうございます。

セイント・ヴィンセント「ありがとう」

―ご自身としては、受賞の要因はどのあたりあると?

セイント・ヴィンセント「あははは、そうだなあ……まあ、この8年間で、わたし自身、これまで4枚のソロ・アルバムと1枚のコラボレーション作品を作って、ツアーしてきた中で、少しずつ成長できたかなって実感はしてるんだよね。そこに運とか巡り合わせとか、自分自身の努力が積み重なって、結果的にいろんな人達がわたしの音楽や活動に注目してくれるようになったおかげじゃないかな」

―想像するに、作品の音楽性や芸術性に対する評価と共に、それが実際に多くの人に聴かれて、親しまれたってことの結果でもあると思うんですね。そうした――古典的なアレかもしれないですけど、芸術性と大衆性のバランスや兼ね合いについては、音楽を作る上で意識するところはありますか?

セイント・ヴィンセント「そうだな。わたし自身は、できるだけ多くの人に自分の音楽を聴いてもらいたいっていう気持ちではあるし、自分の曲を好きって言ってもらえれば、素直に嬉しい。ただ、まったく逆のことを言うようだけど、別に人から気に入られなくたって構わないとも思ってるの(笑)。どんなに他人からいいと言われようが、自分が心の底から好きで誇りに思えるような作品でないと、気になって夜も眠れないことがわかってるから。だから、大勢の人に聴いてもらうために自分の音楽を曲げたりはしないけど、もう何年も経験を積んできたことで、自分のやりたい音楽だとかスタイルに磨きをかけることができたと思ってるし、その結果、徐々にいろんな人達に理解されるようになってきたってことなんじゃないかな」

021

1 2 3

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS