同イベントは、ソーシャル&エコ・マガジン「ソトコト」主宰による、体験を通して電気の仕組みやエコを気軽に理解してもらうことを目的としたシリーズ企画の一環。同企画では、これまでも太陽光やバイオマス発電のみを利用したライブなどを行ってきた。その目的をソトコト編集長の指出一正さんは、「僕たちは、難しいことを面白く提案できたらと思って雑誌を作っている。堅苦しいと頭に入ってこないもの。だから普段使っている電気も、実はみんなで作れるんだということを多くの人に知ってもらいたい」と話す。
5回目となる今回は、人気アイドルのももいろクローバーや私立恵比寿中学の姉妹ユニット「たこやきレインボー」が、「たこ虹家族」(同ユニットのファンの総称)による人力発電のエネルギーのみを使用したライブに挑戦した。
当日、ステージ前には発電機が取り付けられた自転車が10台設置され、12時から16時の4時間の間、虹家族が1分交代で自転車を漕ぎ続けた。参加者には1回発電に参加するごとに、メンバーごとの「発電証明書」が1枚配られ、多くの参加者がコンプリートを目指し、何度も発電に足を運んだ。
目標はライブ6曲分に相当する1200wh。しかし、発電開始から2時間での蓄電量は約200wh。参加者の表情にも疲労の色が見え始め、会場の空気もやや重苦しくなる。そんなとき、たこ虹メンバーが会場に姿を現した。メンバーは自転車を漕ぐ虹家族を応援するだけでなく、メンバー自らも発電に参加。会場を盛り上げた。
最終的に集まった電気量は目標を大きく下回る約400wh。若干の不安を残したまま、発電イベントは終了となる。
17時になると、ソトコトの指田編集長がステージに登場。音頭をとり、改めてたこ虹メンバーをステージに呼び寄せた。指田さんはメンバーに「身近な電気は人の手でも作れることを提案したかった」という同イベントの趣旨を説明。メンバーとともに「再生可能エネルギー」についてのクイズを行いながら“再生可能エネルギーとはなにか?”について学ぶことができた。
ライブでは昨年9月に発売された「絶唱!なにわで生まれた少女たち」を皮切りに、2曲を立て続けに披露される。そのまま3曲目に行くかと思われたが、電力不足が発覚。すると、メンバーの彩木咲良さんが、ステージ前の自転車で不足分の電力を発電しながらライブを進行することを提案。メンバー直々に会場の有志から参加者を募り、「自転車発電を行いながらのライブ」という異例の試みが行われることに。
さらに、「こんなに寒い中来てもらったのに、3曲で終わっては申し訳ない」という想いから、メンバーは急遽アカペラでファーストシングルの「オーバー・ザ・たこやきレインボー」を披露。計4曲を歌い切り、イベントは大盛況のまま幕を閉じた。
イベント後、東京から夜行バスで駆けつけたという男性は「正直大変なイベントだった。ただ、ファンとアイドルが力を合わせて一つのライブを作り上げることは、ファンとアイドルという垣根を越えて、参加者全員の心の距離を近づけてくれたと思う」と満足げに語った。
普段当たり前のように使っている電化製品と同じことを人力で行うと、どれだけの労力と時間が必要になるか――。一歩立ち止まって、普段の生活を見直してみる。そこからエコな生活ははじまるのかもしれない。
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でんきは作れる! ソトコト的でんきの教室
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