—音楽のシーンを少し離れて、久々の作品ということからプレッシャーは感じましたか?
リリー「うーん、そうね。長い間、離れていたからね。4年というのは、ポップ業界では長いと考えられている。特に女性だとなおさらね。そうやって少し離れていると、さっきあなたも『カムバック』と言ったけれど、そういうリスクがあると思う。遠ざかっていると、人々に注目してもらえるような何かスペシャルなことをやらないといけない。だから、もちろんそれに伴う不安はあったわ」
—クレジットを拝見すると、長年一緒にコラボレートしてきたGreg Kurstinがクレジットされていますが、今回のアルバムのコンセプトを教えてください。
リリー「さっき言った様に、このアルバムにコンセプトがあるわけではないの。アルバムとしてまとめるのに十分な曲数があると感じられる様になるまで曲作りを続けていくだけなのよ」
—ということは、ある程度の曲数となった段階でも、特に目指す方向がはっきりとあるわけではなく、もっと自然にまとまっていくという感じを大事にしたかったのでしょうか?
リリー「私の音楽はかなり幅広いトピックスについての曲の集まりなので、コンセプトの様なものはまったくないわね」
—その他のプロデューサーが参加された様ですが、それは『L8 CMMR』でしたっけ?
リリー「いいえ、それもグレッグによるものよ」
—ああ、そうでしたか。その他にも、今回一緒に曲作りをしたプロデューサーがいるかと思いますが、それについて話してもらえますか?
リリー「ええ、いるわね。あと2人、いや、3人プロデューサーがいるの。といっても、デラックス・バージョンかどうかによって違うのだけれど(笑)。『Sheezus』をプロデュースしたDJ Dahiは、主にヒップホップのプロデューサーなのだけれど、ドレイクやケンドリック・ラマーなどを手掛けた人。それからまた別のフライアーズ(Fryars)というプロデューサーとも仕事をしたの。彼の本名はベン・ガレット(Ben Garrett)なのだけれど、フライアーズという名前で活動している、北ロンドン出身の23歳の青年よ。彼と2曲ほど一緒に書いたのだけれど、それは『Miserable Without Your Love』と『Who Do You Love?』よ。それからあとは、誰がいたかしら。ああ、フレイザー・T・スミスとキーンのティム・ライス=オクスリーとも1曲『Holding On To Nothing』をやったわ。他には……いや、以上だったと思う」
—音楽活動の再開により、旦那さんやお子さんと過ごせる時間が減ってしまったかもしれませんが、そこに対する不安はありましたか?
リリー「そうね。他の働くお母さん達が皆、子供を置いて会社に行く時に感じるのと同じよ。それまで毎日、2人の子供達と一日中一緒にいたのだから、もちろん寂しいと思うものだけれど、同時にちょっと大変だったのも確かだから、私が働くというのはお互いにとっていいのよね(笑)」
—少し離れていて、また会うと嬉しいですよね。
リリー「そうなの」
—今やお二人のお子さんを持つ母親となったわけですが、母親になる前となった後では、作品作りに変化はありましたか?
リリー「出来上がった作品がということ?それとも(そこに至るまでの)プロセスという意味で? 」
—どちらの点でもですね。
リリー「オーケー。プロセスという意味では、子供が生まれる前とは違うパラメーターで働いているから変わったのは確かだわ。自宅で音楽を作曲、レコーディングし、子供達のために私が家にいてあげられるようにしている。もしくは、セッションを以前に比べてもっと早い時間に始めて、4:30pmまでには終了し、子供達が夕食を食べる5pmには自宅に戻れる様にしているわ。そういうことはあるわね。それからまた、出来上がった作品、何についての歌かということも変化し、ショッキングで下品なセックスについての描写は、以前ほどはなくなった。子供達がもっと大きくなってから恥ずかしがらせてはいけないからね。ただ、そうはいっても、既に前作でそういうのをやってしまっているので、ずっと存在するのだけれど(笑)。それからまた本作では、母親であることについての曲もあるの。前作の時は母親ではなかったので、そういう曲があったら変だったでしょうけれどね(笑)」
—まだ随分先のことではありますが、自分のお子さんにも音楽活動をしてほしいと思いますか?
リリー「『頑張ってね』と言うわ。誰に対しても、ああしろこうしろと、人生でやるべきことを決めつけるべきではないと思うの。だから、もし子供達がそうしたいと言うなら、「いいじゃない?そうするべきよ」と思うわ。それによってハッピーになれるならね」
—応援してあげるんですね?
リリー「そうよ」