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Salyu「話したいあなたと」第一回:オカモトレイジ(OKAMOTO’S)

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——ある日、僕のiPhoneにレイジくんから動画が送られてきたんですよ。それは彼がカラオケでSalyuさんの曲を歌ってる動画で(笑)。「to U」とか。

レイジ「ありましたねー!」

Salyu「これまた意外な(笑)」

——これでもかっていうくらいのファルセットで。たぶんあれ原曲キーでしたね。

レイジ「バリバリ原キーっすね。一昨日もカラオケに行って“Tower”を歌いましたよ」

Salyu「おもしろい!(笑)。レイジくんはコーラスのファルセットも美しいですよね。ドラムを叩きながらブレのないコーラスをしてるなって」

レイジ「え! ライブを観てもらってるんですか!?」

Salyu「観てますよ」

レイジ「ありがとうございます。超うれしいです」

——Salyuさん、レイジくんの印象はどうですか?

Salyu「日常ではあまり出会うことのない雰囲気を持った青年だなって(笑)。今おいくつですか?」

レイジ「来年(2015年)の1月9日で24歳になります」

Salyu「お若いですね。24歳くらいの青年と話すことってあまりないんですよ。サポートのバンドメンバーもお兄さんが多いし。お肌がきれいですね。そこにまず感動です」

レイジ「ホントですか(笑)。ありがとうございます」

Salyu「さっきフェスで一緒になったという話が出ましたけど、バックステージにケータリングがあるじゃないですか。そこのドアがあって、開けたときにハマ(・オカモト)さんがいらっしゃったんですよ。そのときに丁寧に『どうぞ』って譲っていただいて。なんてジェントルな青年なんだって思ったんですよね。素晴らしいマナーをお持ちなんだなって。それで、ライブを観たらすごくカッコいいロックサウンドを鳴らしてるから『なんだこの人たちは!?』って思いました。そのギャップがまたミステリアスというか。ライブだけを観たらやんちゃなイメージなんだけど」

レイジ「いきなりめっちゃ褒められてありがたいです」

Salyu「私は人としてのマナーがきちんとしてる人って音楽も素晴らしいと思うんですよ。絶対にそこは共通してると思っていて。素晴らしい音楽家は人間性も素晴らしい。ま、人間性がよくなくても音楽性がいい人もたまにいますけどね(笑)」

——確かにOKAMOTO’Sは両方を兼ね備えてますよね。

Salyu「そう思います。生意気な言い方になりますけど、とにかく演奏がうまいですよね。プレイヤーとして成熟してるなって」

レイジ「ようやく渋い演奏ができるようになったんですかね。昨日、僕は新宿の路上でウンコを踏んだりしてるんですけど(笑)」

Salyu「あはははは。それはしょうがないよね(笑)。でも、これだけみんな演奏力があって人間性も素晴らしいって奇跡的だと思うんですよ。みなさん幼なじみで学校が一緒だったんですよね?」

レイジ「中1から一緒ですね。バンドは中3からやってます」

Salyu「和光学園ですよね。不思議な学校ですよね。いろんなアーティストを輩出していて」

レイジ「小山田(圭吾)さんや小沢(健二)さんやスケシン(SKATE THING)さん、あとTHE BAWDIESも和光の先輩ですね」

Salyu「いい先輩がいっぱいいますね」

レイジ「校風自体はべつに音楽に力を入れてるわけじゃないんですけど、日本でいちばん休みの多い学校なんですよ。365日中120日くらい休みみたいな。だからやりたいことを見つけた子は伸びる学校だと思うんですよね。やりたいことをとことんやれる学校というイメージが強いですね。でも、やりたいことを見つけられないやつはとことんダメになる」

——中高から大学生みたいな生活を送るような感じなんですかね。

レイジ「そう、ホントに大学みたいでしたね。自由だけど、自由をはき違えるとロクなやつにならないっていう。俺が父親に言われて印象的だったのは、『勉強しないでバンドやるんだったら、勉強するやつが東大に行くレベルでがんばらないとダメだよ』っていう言葉で。それくらい音楽を聴き込んで練習しなさいと。確かにそれはそうだよなって思いました。だから好きなものを見つけられてよかったですね。音楽は一生聴けるし、演奏できるし、自分次第で引退しなくてもいいから。最高だなって思います」

Salyu「ホントそうだね。なぜみんなが学生時代から岡本太郎さんに惹かれてOKAMOTO’Sというバンド名をつけたか訊きたかったんです。そういうところも早熟だなって思うから」

レイジ「もちろん岡本太郎の好きな作品はいっぱいあるんですけど、彼を芸術家として捉えてるというよりは、俺らにとっては仮面ライダーがカッコいい、ロボットがカッコいいなど、男の子が夢中になってしまう世界観を作り上げてるヤバい人みたいな感覚なんですよね。うちの母親が岡本太郎のことが好きで、小さいころから演説のCDなんかを聴いてたというのもあるんですけど。家に岡本太郎関連の本もいっぱいあって。だから、一般的な人が思う岡本太郎のイメージとはちょっと違うのかなって思います」

Salyu「なるほどね。日常的なヒーローみたいな感じだったんだ」

レイジ「そうですね。画集で『森の掟』を見て子ども心にすげえカッコいいなって思ってました。たしかOKAMOTO’Sっていうバンド名を僕が提案したんです。『ラモーンズみたいにみんなオカモトって名前についてたらカッコよくない?』って。ラッキーなことに岡本太郎財団の方たちにも喜んでもらえて。最初は絶対に怒られると思ってたんですけど(笑)」

Salyu「素敵なエピソードですよね」

レイジ「2011年が岡本太郎生誕100周年だったんですけど、そのときに『太陽の塔』のなかにも入らせてもらったりして」

——「太陽の塔」にしても何度見ても圧倒されますよね。

レイジ「異常だし異様ですよね。それが最高にカッコいいなって」

Salyu「20代のころにある先輩から岡本太郎さんの『今日の芸術』という本を勧められて読んだことがあるんですけど、そのときはあまりピンとこなかったんです。でも、今日レイジくんと会うからあらためて読んでみたら、すごく感動して。こんなにも愛情と情熱と怒りに満ちてる人がいたんだ!って。カッコいいし、生意気ですけど、ちょっとかわいらしいとも思って。それで、OKAMOTO’Sってバンド名をつけたことにも興味が湧いたんです」

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