アヴちゃん「そういえば、志磨くんの夢に出てきた首長族って強制的に首を長くするものなの?」
志磨「強制。子どもの時から、どんどん輪を増やして、徐々に長くしていく。首が長くなってるんじゃなくて、肩が下がってるんだよね」
アヴちゃん「首輪って重いん?」
志磨「重い。お風呂に入る時とかはガシャッって外して、首を洗って、またはめる」
アヴちゃん「コルセットなんや」
志磨「うん、女の人だけなんだよね。纏足みたいな感じ」
アヴちゃん「てんそく?」
志磨「小さい靴を小さい時に履かせて、ずっとそのままにして足の成長を止めるっていう風習。それでよちよちふらふら歩くのが、か弱く女性的に見えるんだって」
アヴちゃん「まだあるの?」
志磨「あるところにはある」
アヴちゃん「いかれてるね」
志磨「大きくなってきたら、足の骨を石でつぶすねん。で、また履かせて固めてまう」
アヴちゃん「うわあ~。……桃娘の話、知ってる? 女の子に小さい頃から桃しか食べさせないと、体臭も尿も、何もかも桃の匂いがするんですよ。それがおじさまたちの慰めものになるの。でも栄養が偏るから、長生きできないんですよ」
志磨「へえ~……」
アヴちゃん「桃娘、かわいそうじゃない?」
志磨「なんか、すごい」
アヴちゃん「NeoL読んだ子は勉強になったね(笑)。”桃娘”って曲書くわ。最近好きな漫画は?」
志磨「えーとね、中村明日美子って知ってる? いわゆるBL漫画で有名なんだけど、そうじゃないのも色々描いててね。最初に読んだのが『コペルニクスの呼吸』っていう、小さい時にサーカスに売られた男の子の話。その子はピエロ役で、空中ブランコの人とか、ジャグラーとか色々おんねんけど。主人公の男の子が髪の毛がくるくるで天然パーマで鳥の巣みたいやからトリノスって呼ばれてて。トリノスはサーカス団の団長の慰めもので。話も面白いし」
アヴちゃん「それってBLなん?」
志磨「BL。一応トリノスは男の子だし」
アヴちゃん「性交シーンも描いてあるの?」
志磨「描いてる、描いてる」
アヴちゃん「話がええんや」
志磨「そう。そこから話が二転三転して、すごいことになる」
アヴちゃん「志磨くん、BL読むんや」
志磨「腐男子! ゲイではないけど」
アヴちゃん「でもキュンとするん?」
志磨「うーん…… いや、僕が一番最初に読んだ漫画が『パタリロ!』なんよ」
アヴちゃん「なるへそね」
志磨「パタリロに似てるって小さい頃めっちゃ言われてた(笑)」
アヴちゃん「13歳くらいから美少年になるねんな」
志磨「たまにキリっとすると、美少年」
アヴちゃん「いい奴やし」
志磨「僕、気を抜くとパタリロ顔になる。小さい時にうちのおかんから『パタちゃんパタちゃん』言われて。ふにゃっとした時の顔に似てるって言われてて。で、ゴキブリ走法ってあるでしょ。カサカサって。あれをやると母親が喜ぶから家でいつもゴキブリ走法してた」
アヴちゃん「母親のためにやるとか、優しい。首長族にされたから慰めてたんやね(笑)」
志磨「ね、それで傷が癒えるんなら(笑)」
アヴちゃん「ねえ。それほどBLには免疫があるのね」
志磨「うん、免疫がある。最初からつまずいてる」