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『日々ロック』入江悠監督インタビュー

 

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インディペンデント制作でスマッシュヒットを記録した『SR サイタマノラッパー』シリーズ(2009〜12年)で、映画ファンのみならずコアな音楽好きからも熱い支持を獲得した入江悠監督。日本語ラップというローカル表現と正面から向き合い、特有の「イケてなさ」や「気まずさ」も引っくるめて惜しみない愛情で描ききった若き俊英が、今度はロックをテーマにしたド直球の青春物語を手がけた。それが本作『日々ロック』。勉強もスポーツもできず、高校ではいじめられてばかりだったダメ少年・日々沼拓郎がロックと出会い、バンドを結成しドン底から世界を目指す熱血物語だ。原作は2010年から「週刊ヤングジャンプ」で連載されている榎屋克優の同名コミック。初のメジャー作品で、ロックというよりポピュラリティの高い音楽をどう映像化したのか──。“爆音ロックエンタテイメント”に込められた熱い思いと、周到な戦略について聞いた。

 

──映画『日々ロック』、とても面白かったです! スクリーンから伝わってくる熱量が尋常じゃないし、どのライブシーンを観ても「音楽によって何かが変わる瞬間」が切り取られていて。その生々しさに感動しました。そもそも監督はなぜ、この原作を映画にしようと?

入江「これまでずっと続けて音楽映画を撮ってきたので、最初は正直不安な気持ちもあったんですが…。読んでみたらブッ飛んだ」

──どこにそんなに惹かれたんですか?

入江「やっぱりこの、絵柄そのものじゃないかな。榎屋(克優)先生が紙面に注ぎ込んだエネルギーというか。上手いのか下手なのかよく分からないけど、メチャクチャなパワーが伝わってくる。特にすごいのがライブシーンで。何だろう…汗とか涙とか、唾とか鼻水とか、ホントに飛んできそうな感じがするでしょう。ひどいときは主人公・日々沼拓郎の顔がボーンと爆発しちゃったりもするし。拓郎やその仲間がみんな不器用で、損ばっかりしてるところも魅力的でした。最近のロック映画ってどこか小ぎれいで、スマートに歌ってるイメージが強いんですけど。はっきり言って『日々ロック』はそういうイメージから少しかけ離れている(笑)。ここまでグチャグチャな話なら、自分でやってみたいなと」

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