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『天才スピヴェット』ジャン=ピエール・ジュネ監督&カイル・キャトレット インタビュー VOL.2

JUNE4

−−−タイムリミットが近づいてきました。そろそろ最後の質問になるかと思います。この映画には“家族”という近くて遠い関係性を、最良の愛情と信頼とで紡いでいくためのヒントがたくさん詰まっていると思うんです。監督ご自身はその点、どう感じますか?

ジュネ「私にできるアドバイスといえば、『少年よ、貨物列車に乗って旅に出ろ!』ということくらいかな。でもね、正直に告白すると、私はそんなこと言えた義理ではないんだよ。そもそもフランスにはアンドレ・ジットの”Families, I Hate You!”という有名な言葉があるように、家族愛の外に自分を置こうとする者が意外と多い。そして何を隠そう私もそっち側の人間なのさ」

−−−そのような考え方のジュネ監督が、一方でこんなにも心と心で響き合う家族の映画を紡げるなんて、さすがです。

ジュネ「それができたのも、このメインとなる家族が甘ったるい愛情などではなく、エキセントリックなまでの強い絆で結ばれているからだよ。私はクラシカルな映画なんてまっぴらごめんだし、フランス映画に多いリアリズムあふれるテイストも苦手だ。むしろ好きなのはティム・バートン、テリー・ギリアム、クロサワ、キューブリック、フェリーニ、セルジオ・レオーネなどといった強烈な作家性を際立たせた人の映画なんだ」

−−−なるほど。

ジュネ「でも、そうは言っても『天才スピヴェット』は今後ますます私の中で異色作としての位置づけを色濃くさせていくはずだ。これまでは登場人物の感情をフィルターで覆ってシニカルな表現に徹することが多かったけれど、本作はむしろ感情というものに寄り添ってみようと心掛けたからね。何がそうさせたのかは分からない。もしかすると、私が苦手としてきたはずのクラシカルでエモーショナルな作風に最も近づいた作品とさえ言えるのかも。そんな私の新境地を、日本の皆さんが楽しんでくれたらなと心から願っているよ」

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TSS Day 16 "The young and Prodigious Spivet" Photo: Jan ThijsìVçÀÉXÉsÉîÉFÉbÉg_ÉÅÉCÉì

 

撮影 山谷佑介/photo  Yusuke Yamatani

文 牛津厚信/text  Atsunobu Ushizu

編集 桑原亮子/edit  Ryoko Kuwahara

 

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『天才スピヴェット』

モンタナの牧場で暮らす10歳のスピヴェットは、生まれついての天才だ。だが、身も心も100年前のカウボーイの父と昆虫博士の母、アイドルを夢見る姉には、スピヴェットの言動が今ひとつ分からない。さらに、弟の突然の死で、家族の心はバラバラになっていた。そんな中、スピヴェットにスミソニアン学術協会から、最も優れた発明に贈られるベアード賞受賞の知らせが届く。初めて認められる喜びを知ったスピヴェットは、ワシントンDCで開かれる授賞式に出席するべく、家出を決意する。数々の危険を乗り越え、様々な人々と出会うスピヴェット。何とか間に合った受賞スピーチで、彼は<重大な真実>を明かそうとしていた──。

監督:ジャン=ピエール・ジュネ『アメリ』『デリカデッセン』『エイリアン4』  原作:「T・S・スピヴェット君傑作集」ライフ・ラーセン著(早川書房刊)

出演:カイル・キャトレット(新人)、ヘレナ・ボナム=カーター『チャーリーとチョコレート工場』『英国王のスピーチ』

ジュディ・デイヴィス、カラム・キース・レニー、ニーアム・ウィルソン、ドミニク・ピノン

11月15日(土) シネスイッチ銀座、ヒューマントラストシネマ渋谷ほか全国順次公開(3D/2D)

 

© ÉPITHÈTE FILMS – TAPIOCA FILMS – FILMARTO – GAUMONT – FRANCE 2 CINÉMA

●配給表記  配給:ギャガ

 

公式HP:http://spivet.gaga.ne.jp/ 

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