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ロイクソップ『THE INEVITABLE END』インタビュー後編

ーーではあなたたちのヴォーカルではないのですか?(ちなみにこのヴォーカルは二人?)

ロイクソップ「いや、僕たちが喋ってコンピューターに取り入れたから、声は僕たちのものだ。音声合成に関してはコンピューターが喋ると話したが、僕たちは音声合成とヴォコーダーの両方を使っている。ちょっと複雑な話になってしまったね」

ーーいえ、丁寧なご説明ありがとうございます!

ロイクソップ「技術的な話になってごめんね。でも、僕はこの手法に情熱を注いでいるし、叙情的なコンテンツを表現するには、とても面白い方法だと思うからなんだ」

ーー人と機械との境界線を超えていますね。

ロイクソップ「そうかもしれない。僕たちは、とにかく、このサウンドがとても気に入っている。そしてこのサウンドは、僕たちにとって非常に重要な意味を持つんだ」

ーーそしてタイトルの『The Inevitable End』。とても意味深なタイトルですが、ここに隠された思いとは?

ロイクソップ「僕たちの活動の多くに当てはまることだが、タイトルにも何通りかの意味を持たせる表現を使用した。今まで、僕たちは自分達の音楽をなるべく決定付けしないように努めてきた。解釈をする側に十分な余裕を持たせたかった。だから僕たちの方からはっきりと『こうです!』という表現の仕方はしてこなかった。タイトルはたくさんの事を暗示している。その中で確定しているものは何もない。決定付けしたくないからだ。だが、暗示していることの1つは『何事にも終わりがある』ということ。それは死を意味しているわけではない。ある種の死、ということだ。いうなれば感情の死。人生において、何かが終わり、新しい何かが始まること。この世で、人の中で何かが終わると、それは別の何かに取って代わるのではなく、古いもの、より死に近いものとなる。この気付きはアルバムに含まれている『喪失感』にも繋がっている。

アルバムに隠された思いは他にもある。僕たちのアルバム・サイクルの避けられない終わりということ。僕たちは幸運なことに、今まで『Melody A.M』から始まり、『The Inevitable End』で終わるまで、従来のアルバム形式を通じて自分達の伝えたいことを表現してくることができた。とても包括的な道のりだったと思う。こうすることによって、今後、より短い作品を出していくことができる。リリースとリリースの間の期間も短くなると思う。例えば、僕たちが、ある方向性、感情、音楽性を探求したいとしよう。だが、12曲かけて探求するのではなく、3曲かけて探求したいとする。従来のアルバム形式を放棄することによって、そういうことがこれから可能となる」

 

ーー本作では『ジュニア』にあったポップ感覚に、『シニア』の持つアンビエントな世界とが、美しく融合を果たした仕上がりになっていると思いました。サウンド制作において目指したものとは?海外のインタビュ—で「ダークだけど、温かみのある音をめざした」と語っていたのを目にしましたが。

ロイクソップ「その通り。『ダークだけど歓迎してくれるような音はないか』ということを自分達に問いかけた。僕たちのダークというのは『怖い』という意味でのダークではない。『ダークな感情』という意味だ。プロダクションの面でも慎重で、丁寧にしたかった。アルバムの叙情的な内容を強調するために、丁寧なタッチで繊細な悲しみや痛みを加えたかった。プロダクションの方法も非常に個人的で誠実な手段を取った」

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