ーー昨年末に”Running To The Sea”と”Something In My Heart”を発表し、シーンの最前線に戻って来た訳ですが。シーンの変化を肌で感じる部分はありましたか?
ロイクソップ「シーンというのはエレクトロニック音楽のシーンのことだよね? エレクトロニック音楽のシーンが変わったのは言うまでもない。アンダーグランドとコマーシャル(商業的)とのギャップが以前よりも大きくなったと思う。僕の言う商業的とは、ラジオやMTVのことを指しているのではなく、大きなフェスティバルのことだ。ここ数年で、アンダーグラウンドなシーンとそういう大きなフェスとのギャップがさらに大きくなったように思う。だけど、実験的な試みをやっている人も最近になってまた出てきたと思う。良いことだ。エレクトロニック音楽は一時期、とても形式的だった。ロイクソップの音楽を、最近のスタイルに適応させる必要性は感じていなかったし、最近のシーンを反映させる必要性も感じていなかった。今まで一度もそういう気持になったことはない。僕たちは、『あったらいいのに』と思う音楽を作っているだけだ。『こんなムードがあればいいのに』とか『こんな感性や気持ちがあればいいのに』とか『なぜ誰もこのサウンドを使ったことがないんだろう』そういう思いが僕たちの音楽の起点になっている」
ーーその反面、4年前と変わらない、リスナーからの熱い反響もあったと思います。ブランクを感じさせなかった出来事はありましたか?
ロイックソップ「これだ、っていう1つの出来事というのは思い付かないが、例えばバンドが通常、4年ぶりにアルバムを出すとそれは『復活』という言葉で表現される。だけど僕たちが音楽を出すのは『復活』するつもりで出しているわけではない。僕たちの音楽には、それ自体で生き残れる『維持力』みたいなのがあると思う。だから作品を発表するまでに時間をかけても良いのだと思う。4年ぶりに新作を発表して、人々がまだ僕たちのことを覚えていてくれるのはとても光栄に思うよ。それが当たり前のことなどとは決して思っていない。だが、反応を見ていると、そのようだし、それは僕たちにとって名誉あることだ。僕たちは自分達の活動に本気だし、偽りのない音楽を作っている。他のバンドと比べてリリースに時間がかかっているのは、自分達の表現したいことが精確に表現できているかということを確認するのに時間をかけたいからなんだ」
ーーまた、以前もコラボ経験のあるロビンと「ロイクソップ&ロビン」名義でミニ・アルバム『Do It Again』も発表。ロビンとユニットを組むことにした理由は? 彼女とのコラボレーションで得た刺激は?
ロイクソップ「ロビンは『Junior』の”The Girl and the Robot”で一緒に仕事をする機会があった。ベルゲンのスタジオで彼女と会ったとき、僕たちと相性が良いとすぐに分かったんだ。すごく楽しくてリラックスできた。だから、これは楽しみながら何か特別なものを一緒に作る最高のチャンスだと思ったね。そしてコラボレーションを続けていったんだ。ロビンのアルバム『Body Talk』に収録されている”None of Dem”を一緒に作曲/プロデュースした。そして一緒にツアーもして、さらに交流を深めていった。『Do It Again』と『The Inevitable End』より前の時期に、ロビンが『また一緒に音楽を作りたいからベルゲンに来たい』と言ってくれた。僕たちもそれに賛成した。どちらも音楽が作りたかっただけだったから、何の計画のなく音楽を一緒に作った。そうしているうちに『ロイクソップ feat. ロビン』や『ロビン feat. ロイクソップ』という名義にしてどちらかのアルバムから音楽をリリースするよりも、自分達の名前を両方出して『ロイクソップ&ロビン』として音楽をリリースした方が楽しくて、より明確、そしてエネルギッシュだと思ったのさ。このコラボレーションを機会に特別な作品を作りたかった。『Do It Again』のアルバムが出た後、夏中ずっと一緒にツアーをしていた。このコラボに対する反応は物凄くて、みんなこのコラボに対して興奮している。ロビンの良い所は、彼女は今でも自分の活動をちゃんとしているということだ。僕たちと一緒に活動したからといって彼女個人の活動がなくなるわけではない。僕たちもロビンと一緒に活動しているからといって、ロイクソップとしての活動が減るわけでもない。ロビンは今でも他のプロデューサー多数と仕事をしているし、僕たちも他のシンガー達と仕事をしている。僕たちとロビンの間にあるのは、とてもオープンで自然なコラボレーションだと思う」