神聖なまでのヒューマンリレーションを感じさせるタイムレスなサイケデリックフォークが鳴っている。jan and naomiの音楽世界は誰も侵すことができない、しかし誰しもを受け入れる永久不可侵な包容力をたたえている。だからこそ、とても切なく、どこまでも美しい。彼らの初EP『jan,naomi are』に触れてもらえば、すぐにこの感覚を共有してもらえるはずだ。出会いから音楽的な信条を語る2人の言葉もまた、そういうものだった。
——不可侵なアートとしてそこにあって、どこまでも美しくて、切なく、溺れられる楽曲が連なっている。掛け値なしに素晴らしい作品だと思います。
ヤン「うれしいです。今、溺れるって言っていただけたことがすごくうれしい。(リスナーを)深いところに連れていってあげたいという願望がこの2人にはあるから。そういう感想をもらってそれが少し果たせたのかなって」
——ヤンくんの言う「深いところ」についてもう少し具体的に言葉にできますか?
ヤン「革命的な反逆意識を持った現実逃避みたいな。反逆するために現実逃避するというスピリットを聴き手に伝えたいなと思っていて。そのためには深いところに自分たちだけで行くのではなくて、意識ごと人を引き連れていきたいなと思ってるんですよね」
——音楽をクリエイトするうえでのそういう感覚であり美学であり哲学は2人が出会ってからずっと共有していると。
ナオミ「そこまで深くは考えてないんですけど、結果的にそういう音楽になってると思うんですよね。最初から『2人が楽しむことがいちばんだよね』って話はよくしていて」
ヤン「2人が出会ったのが——もう今はないんですけど、渋谷にあったHESOというお店で」