今夏、初来日となるSummer Sonic 2014に出演を果たしたリトル・ドラゴン。彼らの母国スウェーデンや北欧圏といえば、それこそABBAの時代から日本でも馴染みの深いダンス~エレクトロニック・ミュージックの産出地。とくに近年は、ザ・ナイフやロビン、あるいはEDMの人気DJアヴィーチーなど、コアな音楽ファンの間でも注目度が高い。そうした中、このリトル・ドラゴンは、本国での国民的人気はもちろん、欧米のインディ・リスナーからも熱い支持を集めるバンドだ。今年リリースされた4作目の最新アルバム『ナブマ・ラバーバンド』は、ミニマルなビートや奥行きのあるエレクトロ・サウンドにのせて、R&Bの官能的なフィーリングがより前面に打ち出された作品。共同プロデューサーにライ/クアドロンのロビン・ハンニバルを迎え、さらにデ・ラ・ソウルのデイヴとのコラボ曲が収録されるなど、多彩な内容の仕上がりになっている。ちなみに、アルバム本編とは別に、ノサッジ・シングやリル・シルヴァといった気鋭のトラック・メイカーによるリミックスも話題なので、ぜひチェックされたい。日系スウェーデン人であるヴォーカリストのユキミ・ナガノと、ベーシストのフレドリック・ヴァリンに話を聞いた。
―すでに各地のライヴで演奏されていると思いますが、新曲の感触はいかがですか?
フレドリック「単純に新曲だから、演奏しててテンションが上がるよね。長いこと同じ曲ばかり演奏してたとこに新たなレパートリーが加わるだけでも、新鮮でワクワクする。それとライヴでは即興でかなりアレンジを加えてるから、アルバムに入ってるのとはまた違った感じで曲が変化していくのも面白くてね」
―今回のニュー・アルバム『ナブマ・ラバーバンド』は、とくに具体的なヴィジョンを決めることなく制作が進められたと聞きました。実際にライヴで曲を演奏してみて、アルバムについてあらためて発見したようなことはありますか?
ユキミ「ヴィジョンがなかったっていうと、空っぽみたいな印象に映るかもしれないけど(笑)、まあ、実際のところ、あらかじめ決めたりは一切してないんだけどね。私たちが音楽を作るときって、その一瞬の空気を摑み取る、みたいなところがあるから……そこで考えすぎたり、最初から計画を立てちゃうと、どうもうまくいかないみたい……って、これはあくまでもうちのバンドの場合なんだけどね。私は、音楽って直感で感じるものだと思ってるから。それに時間の経過とともに変化していくこともあるし。作品を作って、それを発表して、リリース前はものすごいテンションが上がって、『この作品で世界がひっくり返るかも!』くらいに思ってても、実際に作品が発表されたら、途端に力が抜けちゃって、リリース前とはまた違った感情が生まれてきたりとかね。間を空けることで、内側からじゃなくて、外側から作品を観れるようになったりして。ただ、どの曲にも存在理由があると思うから……だから、まったく何も考えてないしコンセプトも何もないんだけど、それはあくまでも頭で考えてるんじゃなくて、直感で動いてるって意味に近いのかな」