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tofubeats『First Album』インタビュー(後編)

——納期はメジャーの洗礼だからね。でもだからこそ出来たこともあって。

tofubeats「そうですね。LIZとかとできてるんでプラスの方が今のところ大きいかな。あと、僕はストックを作らないという問題のある制作方法をとっているんで、こういう土壇場に弱いというのもあります。普通の人はずっと作ってストックしとくんですけど、僕は『これは出さないだろうな』って曲をSoundCloudにあげちゃうので」

——えっ、なんでストックを作らないの?

tofubeats「新鮮なものを出す方がホスピタリティだと思うってだけです」

——それはそうだけど、一方で15年たっても色あせない『First Love』みたいなのもありますよ。

tofubeats「あれがなんで15年たっても色あせないかって、当時一番新しかったからですよ。その時作ったものはどう頑張っても当時の空気感しか纏えないんですよね。だから『First Love』もいいけど、15年前のものとしていい、みたいな。うまいワインみたいな。例えが悪いかもしれないけど(笑)、でもまあそんな感じで。ワインを作るにはちゃんとしたブドウが最初に必要なわけで、その感じはすごく大切ですね。しかも音楽は水もので、流していく、流れていくものですから、なるべく直前のものを流したい。それは単純に皮膚感覚としてなのか、今までフリーでやってた時期が長かったからかわかんないですけど」

——ストックを作らないとか、そういうルールみたいなものって他にあります?

tofubeats「厳密に言うとストックになってしまってる曲とかもあるんですけどね。LIZ用に作った他の曲やアルバムに入らないリミックスもそうですけど。でもそれこそ宇多田さんがインタビューで言ってた『曲を作ることは一大事だから』って話で。自分でプロジェクトを消すけど、よくなりそうな曲はトライし続けるっていう。”ディスコの神様”はまさにそうで、オケはずっとあったのにサビだけわからなくて、サビが出てくるまでに1週間くらいかけてたり。曲を作るのは一大事だから、自分の昔の日記を掘り出してどうこうするんじゃなくて、その時の感じとかをちゃんと形にしてそれを出してしまうことによってちゃんと次にいける。自分にとってもその方が健康だし、それがチグハグになると整理しにくいというのはあります」

——ああ、もう息をするかのように作ってるんだね。

tofubeats「息をするかほどではないですけど、まあぼちぼち作ってるますね」

——ストックを作らないって、すごいことだし、ドキドキしてできないですよね。いつ自分の才能が枯れたら、とか考えちゃうし。

tofubeats「枯れたらやめたらいい」

——かっこいい……。でも人間ってすがりつくじゃないですか。

tofubeats「すがりつけるくらい売れてなくてもお金もらえるんだったらいいですけど、今はそうじゃないですからね。売れなくなったらだめでしょ」

——そういう恐怖はあったりします?

tofubeats「今はないですけど、でも一生はやってないだろうなとは思いますけどね」

——今は恐怖がないんだ。それもすごい。

tofubeats「まだ契約残ってるんで(笑)。でも更新もあるし、来年くらいからリアルに不安になると思います」

——それはあくまでメジャー契約に関してであって、音楽を作り、紡ぎ続けることができるかという恐怖はないでしょう?

tofubeats「それに関してはまだ全然ないですね。音楽を聴いてて楽しいということは、作ってても楽しいから。新しい機材とかに興味がもてなくなったらいよいよかな、と思うでしょうね。あと神戸いるのも延命措置になってるんです。ガンガンやりすぎて疲れることがないように。東京は来るたびに刺激があるじゃないですか、『表参道のApple Storeやべー!』とか。でも住んじゃうとそのGenius Barに普通に行っちゃうわけで、そうなると何にびっくりすればいいんだというのもある。喫煙所行っただけでミュージシャンに会ったりもするじゃないですか」

——感覚の摩耗を防いでるわけですね。ってか、tofuくんタバコ吸うの!?

tofubeats「吸います。これほんま、なんなんですかね! 大学の時からずっとタバコ吸ってるんですけど永遠に吸ってないみたいなイメージがある」

——清潔な童貞感がつきまとってる(笑)。

tofubeats「損なんですよね。清潔そうで童貞そうなのに清潔でも童貞でもないからどうしようもない」

——えっ、いいじゃないですか。tofuくんの計算されてない童貞感はヤバイ。

マネージャー「もう少し褒めてもらっていいですか?(笑)」

 

——褒めてますよ! 快楽を知らないがゆえの憧れとそれを知っちゃった後は、やっぱりなにかが違うはずで、でもそれを知ってるのに知らないかのような憧れを感じさせるってすごいですよ。

 

tofubeats「ありがとうございます(笑)。確かに音楽は性的なものですしね」

マネージャー「tofuの童貞感は女の子に憧れてるからじゃないですか?」

tofubeats「リハウスガールが好きだから」

——うわー、嫌だ(笑)。

tofubeats「いやいや! 俺は嫌じゃない!」

——大抵の男が嫌じゃないわ! 

tofubeats「リハウスガールに対しての気合いは大抵の男とは違うっす! もうお嬢様とか大好きなんですよ」

——あんな女の子はいない! 夢見過ぎだから!

マネージャー「(笑)まあまあ。まだ23歳なんで。色んなとこに飛び込んで行って……」

tofubeats「最終的には黒ギャルと付き合ってるかもしれない」

——それはそれで私の好きなtofuくんではなくなってしまう気が……。

tofubeats「黒ギャルに夢を見るときもあるかもしれませんよ、俺の場合は! 黒ギャルにリハウスガールを見出すかもあるかもしれない」

——それだけのイマジネーションがあれば曲がいっぱい作れる(笑)。

tofubeats「あはは、そうですね」

 

文・編集 桑原亮子/text & Edit  Ryoko Kuwahara

tofubeats

1990年、平成2年生まれ、神戸市在住のトラックメイカー/DJ。インターネットで100曲以上の楽曲を公開し続けるかたわら、 YUKI、FPM、佐々木希、ももいろクローバー、Flo Rida など様々なアーティストのリミックスも手かがけ高い評価を得ている。Web CMなどのクライアントワークも多数。盟友オノマトペ大臣と2011年末にリリースした“水星EP”はアナログ盤として異例のヒットに。強い要望を受けてリリースされたデジタルバージョンはiTunes 総合チャート1位を獲得。iTunes Best of 2012 に選出され、翌2013年のニューアーティストにも選ばれる。2013年春発売の『lost decade』も iTunesで総合チャート1位を獲得。世界のインターネットに散らばる最新のクラブミュージックからJ-POPまで、凝り固まらない平成生まれのバランス感覚を持った新進気鋭の若手トラックメイカー。11月には森高千里をフィーチャリングした“Don’t Stop The Music”でメジャーデビュー。藤井隆を迎えた“ディスコの神様”でも話題に。2014年10月2日にメジャー1st『First Album』をリリース。

http://www.tofubeats.com

 

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『First Album』

発売中

http://www.amazon.co.jp/First-Album-通常盤-tofubeats/dp/B00MBH33LS

https://itunes.apple.com/jp/album/first-album/id913294959

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