——だからごめんなさいってば(笑)。tofuくんが歌ってる曲、ものすごく好きですよ! 話変えますけど、UNITでのリリースパーティで藤井さんのライヴが素晴らしくて感動しました。
tofubeats「華がありすぎですよね。42歳の動きじゃないですよ。だって、その日7時から1本舞台やって、1本別のライヴやって、その後に僕とコラボライヴやってさらにDJやって、そのあとソロライヴがあって、翌日には舞台が2公演あるっていう、もうむちゃくちゃ(笑)」
——鉄人……。tofuくんとの曲はもちろん、ご本人の歌もよかったなあ。
tofubeats「そうですね。音楽が本当に好きなんですね、あの人は」
——tofuくんも本当に音楽が好きなんだなあって曲を聴いてていつも思う。
tofubeats「好きじゃなかったらなんで音楽やってんだってなりますけどね(笑)」
——でもtofuくんの場合、音楽好きってレベルを超えてる感じがする。
tofubeats「まあ、信仰みたいなところもありますね」
——信仰と救い。
tofubeats「そうですね、宗教みたいになってるところはありますよね」
——それ、すごく感じました。『lost decade』の時よりさらに。この人音楽ないと死んじゃうんじゃないかって思った(笑)。
マネージャー「廃人みたいになってるんじゃないでしょうか(笑)」
tofubeats「まあまだ実家にいたでしょうね(笑)。”poolside”のPVを観た友達が『本当にお前、音楽やってて良かったな』って言ってましたから(笑)」
——あはは。そういう意味でも、さっきも言ったけど、今作は光と闇の対比が強い。森高さんとかキラキラしてるのに、全体通して聴くとやっぱりtofuくんが暗い(笑)。
tofubeats「”ディスコの神様”とかは、実は相当無理して作ってて、というか、やっぱりカロリーを相当消費しないと作れない曲。だから自分的には”Don’t Stop The Music”でも頑張ったな、気合入ってんなって感じがしますね」
——暗いというのは曲調じゃなくて……、うーん、暗いという言葉も違うかもしれないけど。
tofubeats「いや、でも趣味趣向的には暗いですよ。(宇多田ヒカルの)『First Love』が好きなのも、あのアルバムが全体的に纏ってる陰鬱とした感じがすごくいいからだし。そもそも今作は、ジャケットのフォントを見てもわかる通り『First Love』から着想を得てるんですよね。『First Loveいいな』みたいなところがあり、かつあれは日本で一番売れたアルバムなのでそこからの色々な着想もあり。『First Love』って実はもう15年前も前のものなんで、俺はもう参照されてしかるべき資料だと思ってて。1990年に1975年のジャズをサンプリングをしたら1枚アルバムができるのと同じ時差が経ってるわけだからいいじゃんってことでやりました。でも2000年以降ってあまり時が流れてないんだなって思いますよね」
——確かに15年と言われて驚くくらいまだ鮮明な印象がある。そうか、『First Love』へのオマージュ的な部分もあるのか。確かにあの音楽への一途な願い的な、それがゆえにダークな部分は共通している。tofuくんの今作は本当にそこだと思う。前作の方がシティっぽかったよね。
tofubeats「前回は本当に胃潰瘍の時に作ってたんで、エクササイズみたいなところもあって。でもそういう匂いを消す作業をちゃんとやったから『lost decade』はちょっとシティ派なんですけど、今回はその臭みを抜く時間がなかったので、後半とかもうすごい……ガガガガーと引っ張られるみたいな」
——私はそこがすごく好きなんですけど、本人的には臭みが抜けなかったのはどうなのかな?
tofubeats「前と違ってよかったなってところはありますけどね。だから最後のラップとか、”ディスコの神様”を作った人がこういうこともできるのかって思ってもらえるわけですし。でも根は本当に暗いのが好きで、Blood Orangeみたいになりたい。ああいうのが好きで、そこを世の中とどう折り合いつけていくかみたいなことだったりするじゃないですか」
——音楽をやって、届けるからには。
tofubeats「そうですね。あとはそれを聴いて喜んでもらいたいし、どういう風に納得してもらおうかというのもあり。本当は“Don’t Stop The Music”以外のシングル曲もアルバムバージョンにしたり、もっとスペシャルなものにできたら良かったと思うので、そこだけは反省点としてあります。次にやる時はそこも考えていきたいですね」