―ちなみに、ダニー・ブラウンやイギー・アゼリアとのコラボレーションからは、同じアーティストとしてどんな刺激を受けましたか?
Chali XCX「ヒップホップは昔からずっと好きだったのね。それに自分の可能性を全方向に広げていきたいと思ってるから、同じことばっかりずっとやってるのが苦手なのね。いろんなジャンルのアーティストとコラボレーションするのも好きだし、一つの小さな枠の中に閉じ込められていたくないの。そういう意味で、いろんなジャンルの人達と共演することは自分にとってチャレンジでもあるし、そうすることで自分のリスナーに対してもチャレンジしてるんだと思う。今言ったダニー・ブラウンにしろ、イギー・アゼリアにしろ、まさに真のアーティストだし。ダニーなんて、あり得ないくらい天才的なラッパーで、それなのにすごく過小評価されてると思う。それにイギーは毎回全力投球なのね。そんな2人と一緒に共演できてすごくよかったと思う」
―8月にリリースされた“ブーン・クラップ”のEP“にはリミックスも収録されますが、今年の初めにはあなた自身が手がけたポルトガル・ザ・マンのリミックスも発表されましたね。リミキサーを選ぶ基準みたいなものってあるんですか?
Chali XCX「そうねえ……自分の曲をリミックスしてもらう場合は、自分がその人の作品のファンだったりとか……一番最初にやってもらったリミックスもセーラム(Salem)ってバンドで、もともとすごくファンだったのね。あとは友達に頼んだりとか、あるいは、曲の可能性を広げて、私ひとりの力では無理な領域にまで持っていってくれる人とかになるのかなあ。自分が人の曲をリミックスしたり、他のアーティストとコラボレーションする場合は、その曲だったり、そのアーティスト自身に何かしら感じるものがないと一緒はできないかな」
―最近だとジーザス・ミリオン(J£ZUS MILLION)とコラボした“イリュージョンズ・オブ”が印象的でしたけど、他にいま気になっているトラック・メイカーやアーティストはいますか?
Chali XCX「ジーザス・ミリオンはこれからものすごいビッグになっていくんじゃないかな。ほんと天才だし、彼の作るビートは心底すごいと思う。あと最近のお気に入りではスウェーデンのヤング・リーン(Yung Lean)とか、彼のやってるラップ・グループのサッド・ボーイズ(Sad Boys)とか。ヤング・リーンも日本好きで、“Kyoto”ってタイトルの曲もあるんだよ。Tシャツなんかでも日本語を使ってて、シャネルが何年か前に日本で出したTシャツをモチーフにしてたりね。すごく才能があるし、今後一緒に何かやるかもしれない。本当にセンスがいい子達なのね」
―最後の質問です。今回の“ブーン・クラップ”はそもそも、青春小説が原作の映画用に書き下ろされた曲とのことですが、チャーリーにとって“青春のサウンドトラック”を挙げるとするなら? この曲を聴くと青春時代を思い出す、みたいな。
Chali XCX「アハハハ、そうだなあ……『クルーレス』のサウンドトラックか、『フリーキー・フライデー』のリメイク版の『フォーチュン・クッキー』のサウンドトラックになるのかな。本当に大好きだったし……私が今よりももっと若かった頃をすごく思い出してキュンとなるしね」
Chali XCX
『Sucker』
10月21日発売
(Warner)
Charli XCX
イギリス生まれ。、デビュー前にも関わらずコールドプレイのオープニング・アクトを務めたことで話題に。その後、アッシャー、ノー・ダウト、ヴァンパイア・ウィークエンド、ソランジュ・ノウルズなどの数多くのヒット曲を手掛けてきたプロデューサーであるAriel Rechtshaid とロサンゼルスで出会い、彼の力を借りながら、2013年5月にデビュー・アルバム『True Romance』をリリース。2013年9月にリリースされたアイコナ・ポップ“アイ・ラヴ・イット(feat. Charli XCX”)”に共作・客演として参加し、全米シングル・チャート17週連続チャートイン。2014年3月にリリースされたイギー・アゼリア“Fancy feat. Charli XCX”にも客演参加し、全米チャート1位を記録。サマーソニック2014に登場し、オーディエンスを涌かせたことは記憶に新しい。2014年10月21日、ニューアルバム『Sucker』をリリース予定。
http://wmg.jp/artist/charlixcx/
撮影 中野修也/photo Shuya Nakano
文 天井潤之介/text Junnosuke Amai
編集 桑原亮子/edit Ryoko Kuwahara