——Meguさんからはバンドシーンってどう見えてるんですか?
Megu「それぞれみなさん個性が強いですよね。OKAMOTO’Sさんで言うと、ファッショナブルだったり、ダフトパンクさんの曲をライヴでやられてたり、色んなところを取り入れながらやられているのを見て、すごくかっこいいなと思って。何て言ったらいいのかわからないんですけど、聴かせるだけじゃなくてステージとして見せてくれるし、トークも面白いですよね。バンドの方々も、アイドルとは全然違うんですけどそれぞれの演出が異なるので見ていて参考になります」
——表現の形態として、学べるところがあるんですね。
ハマ「本当にバンドマンはアイドルのステージを観に行った方がいいと俺は思う。やっぱりステージに出る自覚が本当にある人じゃないとファンがつかないんだなって。最近のバンドマンの部屋着で来ましたみたいな感じなんかはふざけんなって思うし、洋服なんかどうでもいいって思ってたらステージに立たなくていいんでって本当に思うんですよ。そういうとこも含めてショーなんです。お客さんは時間をさいてお金払って観にきてくれてるわけですから。衣装も、チェキや握手もそうですけど、アイドルフォーマットというのはやはりエンターテインメントですよね。戦国時代を生き抜く努力をしている。今のフェスのバックヤードでラーメンの話しかしてないようなバンドマンは本当にアイドルのステージを観に行った方がいい。俺は何度も度胆を抜かれてます。あの一体感、ファンの人たちの全身全霊さ。その人たちだけを観に来てて、その人たちだけを応援していればいいというわけではなく、例えばNegiccoの出演してるイベントだったらその後の人たちもちゃんと盛り上げようと、Negiccoがいかに気持ち良くそのイベントで1日を終えて帰れるかということに命をかけてる。この間DJをやったイベントにアップアップガールズ(仮)が出演していて、そのファンの方たちがいたんですけど、本当に俺なんか誰だよって話だと思うんですけど、ちゃんとみんな盛り上げてくれて。俺も感動したし、オーガナイザーさんも『みなさんのおかげです』って泣いてて。ファンを育てるという言葉があるけど、それもアイドルの努力であって。だから楽屋から締め出して着替えてたやつらはいなくなるし、絶対そういうところが繋がるなと思う。Twitterで見てる限りのことでしか言えないけど、Negiccoのファンの人たちはみんなすごいなと思うし、愛がすごくある」
Megu「ありがとうございます。嬉しいです!」
ハマ「俺は、だからこそバンドシーンとアイドルシーンって決して混ざらない文化ではないと思うんです。なんだそれって思ってる人たちがまだまだ多いかもしれないけど、今ってつい2、3年前までは想像しえなかった状況ですよね。フェスで一緒になる人たちのことを見ると、何が起こるか本当にわからないなって思う」
——もちろんバンドマンも練習しないとちゃんとしたライヴをできないと思いますけど、アイドルも休みなんてない状況でも必死で練習してるじゃないですか。あれはやっぱやる気がないとできないですよね。
ハマ「本当にそうですし、一生懸命じゃないと周りもやってあげたいと思わない。AKB48やPerfumeも含めて間口は広くなってると思うんですけど、これだけ戦国と呼ばれるようになったのはやっぱりみなさんの努力、本気度合がなければできなかったことだと思います。Negiccoは3人ともすごくかっこいいし自覚があるし、なおかつ今やっているそのチームがすごく好きだし、そういう全部で応援してるんだって、この対談でわかってもらえるといいですね」
——はい、私はNegiccoがすごくかっこいいということがわかりました。Negiccoの今の目標はなんですか?
Megu「新曲でオリコン10位以内に入ることが目標です。今回、11位だったんですよ。ですけど11年やってきて、自分たちはまだまだできるんだって気づかせてもらえました。ファンの人たちも頑張ってくれたし、私はもっと頑張れるんだって自信をもらえたので、頑張りたいなと思います……なんか、すみません! 本当にごめんなさい!(笑)」
−−胸を打たれる……。新潟が拠点のままの11位ですからすごいことですよ。
Megu「最終日が佐渡で、お客さんがなかなか来れなくて。でもイベントに来れなかった人たちが東京のCD屋さんとか駆け回ってくださって、Negiccoをどうにか10 位に入れてあげたいという気持ちでみんなCDを買ってくださって。他の県の人もみんな協力してくれて、佐渡でも完売して。その1日はみんなが1つになってNegiccoをどうにか10位に入れてあげたいって感じで満たされて、本当に嬉しかったです。11位だったんですけど、11年目にしてまだまだできるんだって気づかされたので、まだまだこれから上を目指して頑張ります!」
ハマ「今言ってた話の、ファンの人がそうやって応援してあげようという気持ちが結果的にどこに還元されるって、ランキングもそうだし売上枚数もそうだけど、本人たちの次に還元されるわけじゃないですか。今そのコメントが出たというのも、それをやっぱりちゃんと見越してやってるいいファンの人たちが沢山いるんだなって。何回も握手したいから買うんじゃなくて、今のコメントが欲しいからみんなやってるわけです。そんなに清いことってないし、それはアイドルだろうがバンドだろうが関係ないなって。俺らももちろん上位に入れば嬉しいし、売れれば嬉しいけど、待ってくれてる人がいるってことが自分たちの今後の制作や色んなことに還元されてくんですよね。本当に、いいファンは大事にしなきゃなって思います。同時に、我々は結構口が悪いんですよ(笑)。だからそれを面白がってくれる人たちも含めて、もうちょっと意識改革と言うと偉そうなんですけど、そういうことは引き続きバンドとしての使命感をもってやっていきたいなと思う。そしていい曲がほしいです」
——いい曲というと?
ハマ「今年で11年目で、人の前に立つという意味ではNegiccoは先輩ですし、辛い思いもしてきたからこそのここ何年かのいい楽曲との巡り会いがあるということも含めて、すごく刺激をもらうんですよ。そういう人が普通に観にきてくれたり好きって言ってくれたりすることってすごく安心に変わるんです。間違ってないと思える。だから切磋琢磨していきたいし、どんどん入り乱れればいいと思う。そしたらやっぱりいいものだけ残るから。俺は”Summer Breeze”が好きなんですけど、やっぱり何年も残る曲がいい曲でもあるじゃないですか。20代の俺らが10年後に人前でやってもみんな盛り上がれるというのがやっぱりいい曲でありポップスだと思うから、そこを続けていきたいと思うし、その自分の経験値としてアイドルシーンの中に入っていきたいと思います。演奏の面でもそうだし、この対談も、ミュージシャン同士としての普通のものだという風にどんどん見えていけばいいなと思います」
——いい締めですね。
ハマ「あ、締め後に申し訳ないんですけど……俺、今日“サンシャイン日本海”買ってきたんですけど、サインいただけますか」
Megu「え!? 本当ですか!?…すみません!嘘―!えー!!」
ハマ「俺サインくださいって言ったことないから(笑)。あ、ラリー・グラハムにはもらったことがある。2人目です」
Megu「光栄です、ありがとうございます!」
撮影 中野修也/photo Shuya Nakano
文・編集 桑原亮子/text & edit Ryoko Kuwahara
OKAMOTO’S
OKAMOTO’Sオカモトショウ(Vo)、オカモトコウキ(G)、ハマ・オカモト(B)、オカモトレイジ(Dr)。2010年5月にアルバム『10’S』、11月に『オカモトズに夢中』、2011年9月に『欲望』を発売。2013年1月に4thアルバム『OKAMOTO’S』を発売し、7月には両A面シングル“JOY JOY JOY/告白”を、11月6日にニューシングル“SEXY BODY”をリリース。2014年1月15日に岸田繁(くるり)を迎えた5th アルバム『Let It V』を、8月27日にはRIP SLYME、奥田民生、黒猫チェルシー、 東京スカパラダイスオーケストラ、 ROY(THE BAWDIES)らとコラボを果たした5.5 thアルバム『VXV』を発売。5周年アニヴァーサリーツアー「OKAMOTO’S 5th Anniversary HAPPY! BIRTHDAY! PARTY! TOUR!」が9月21日の札幌PENNY LANE24からスタート。ツアーファイナルは10月25日、東京・日比谷音楽野外大音楽堂。
Negicco
2003年に結成された新潟発アイドル・ユニット。 メンバーはNao☆、Megu 、Kaede。 西寺郷太、小西康陽、矢野博康、田島貴男などのプロデュースによる楽曲を リリースし、今年はSUMMER SONICやROCK IN JAPANなどのフェスにも出演。 最新シングル”サンシャイン日本海”はオリコン11位を獲得。