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赤い公園『猛烈リトミック』インタビュー 中編

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―で、ちょうどアルバムの真ん中に置かれたのが、KREVAさんが参加している “TOKYO HARBOR”ですね。KREVAさんにお願いすることは、曲を作る前から考えていたんですか? それとも、曲を作っていく過程で思いついたアイデアだった?

津野「“TOKYO HARBOR”は、じつはデヴュー前からある曲で、東京湾あたりの高速を男女ふたりでドライヴしてるって歌なんですけど……これ、最初は『米倉涼子』っていう仮タイトルで(笑)」

―へー(笑)

津野「これ、みんなでね、『やば~い、大人っぽい~、ウケる~』って感じで作ったんですけど(笑)、でまあ、ライヴでもやっていってる中で、女の子目線の方しか歌詞が埋まっていかなくて、『いやー、これ男性の声欲しいし、なおかつ男性パート書いてくださる方いないかなー』と。で、私たちがもう学生の頃からずっと好きなKREVAさんに歌ってもらえたら最高だね、って話になってお願いして。楽器録りのときとかもまだ、KREVAさんのスケジュールが出てなくて、『KREVAさんダメかもな、でも、もうちょっと待ってみよう』ってことで、間奏をひたすら長回しして録っておいて待っていたら(笑)、そしたらやっていただけることになって」

―KREVAさんからラップを入れた曲が戻ってきたときは、かなりアガった?

津野「いやー、完全にハグらかされたねーって(笑)、みんなでね。カッコよかったです。KREVAさんは、学生のときももちろん好きで、でも卒業して、自分で歌詞を書いて今のバンドをやるようになってから、やっぱりもっと好きになったアーティストで。リリックの書き方というか、ほんとに――言葉を選ぶの難しいけど、突っ込みどころがないというか、してやられることばかりで。それはこの曲に関してもそうで……いやー、東京湾の横をドライヴしてて、私は女子目線でこういうこと(歌詞)を考えていたんだけど、男ってこんなこと考えてるの!?と思って(笑)」

佐藤「ねえー、リアル(笑)」

津野「ねえ。だって『冗談半分/なら 残りの半分は本気!?!?』って(笑)。こんなこと言われても(笑)。悪っ、て(笑)。大人になったなーって、この曲が(笑)」

佐藤「ねえー、アダルトになったね」

津野「色気が最初すごくて、耳が妊娠しそうになったもん(笑)」

佐藤「耳妊娠(笑)」

―(笑)。で、意外に思えたのが、“お留守番”をプロデュースした蓮沼執太さんの名前で。蓮沼さんと言えば現代音楽やエレクトロニカ/アンビエント系の印象がある音楽家ですが、ただ、コーネリアスも思わせるエレクトロニックでミニマルなトラックにちゃんと赤い公園の演奏と歌がのっている、予想外だけど聴いて納得の仕上がりですよね。蓮沼さんとはどういう繋がりで?

津野「これは、ちょうど私、蓮沼さんのCDを何枚も持っていて、聴いていて。この曲は元々――私が打ち込みを覚える前だから、ほんと17か18歳のときに、4トラックのハンディ・レコーダーで録ってたデモの曲で。それを友達が持っていたキーボードに繋いで、キーボードに入ってるいろんな音を入れていって、それこそエレクトロっぽいアレンジのものだったんです。で、これ、15曲あるアルバムの13曲目に、頭っからバンド・サウンドじゃないものがあってもいいかもしれないな、と思ったときに、でもこれ、私がやったらそのデモを増幅させるだけになっちゃう、今回ここまでテンション高く作ってきた中で違うな、って。それで、『ああ、蓮沼さんにやってもらえるかな?』って思いついてお願いしたら、蓮沼さんは今ニューヨークにいらっしゃるんですけど、『いいよ!』ってスタッフづたいに聞いて(笑)。打ち合わせもSkypeだったんですけど、でも私緊張しすぎて……だって、まずとりあえず、『えっ、私、蓮沼さんとSkypeで最初に会うの!?』って思って(笑)」

―確かに(笑)。

津野「緊張しすぎて、ディレクターと手でハートを作って待ってたんですけど(笑)」

―ははは。

津野「そしたらなんか、ハートを返してくださるおちゃめな方で(笑)。最後は、蓮沼さんが映し出されているモニターのSkypeの画面と私たち、記念撮影をしました」

―いい話(笑)。

津野「蓮沼さんとは、結構、データのやり取りしました。蓮沼さんがエレクトロっぽい部分を作ってくださって、それに対して私がベースとギターとドラムを入れて、みたいな。細かいアイデアの詰めをふたりでずっとやり取りして。で、やり取りのメールの最後に絶対、蓮沼執太の『しゅ』って書いてあるんですよ(笑)、ひらがなで」

―その蓮沼さんとのやり取りが続いた中で、たとえば印象に残っているキーワードみたいなものってありますか?

津野「うーん、とくにないかな。その『しゅ』以外は(笑)。でも、そんなふうにSkypeで始めましてをして、打ち合わせをして、お互いがお互いのことをどういう人間か一番知らなかったコンビだと思うんですよね、今回の作品の中では。一番知らなくて、基本的にデータが送られてきてっていうやり取りで、すっごいワクワクしました! うん。私、突然、これ生のギターとか入れてみたらどうなるのかな?とか思って入れて送ってみたら、『ははは、面白いね!』みたいな(笑)、『僕も入れてみたよ』みたいな返しが来て。なんかすっごい無邪気にやることができましたね」

―佐藤さんは“お留守番”を歌ってみて、難しさはありましたか? これまでとは違うタイプの曲だったと思うんですけど。

佐藤「あ、でも、この曲はすごく変わってるからこそ……その、エレクトル?(笑)な感じで変わってるからこそ、歌いやすくはありましたね。イメージが想像できやすくて、それに普通に合わせたって感じで。歌いやすかったです」

(後編へ続く)

(前編はこちら)

 

 

撮影 吉場正和/photo  Masakazu Yoshiba

文 天井潤之介/text  Junnosuke Amai

編集 桑原亮子/edit  Ryoko Kuwahara

 

赤い公園

高校の軽音楽部の先輩後輩として出会い、佐藤、藤本、歌川の3名によるコピーバンドにサポートギターとして津野が加入。2010年1月結成。東京:立川BABELを拠点に活動を始める。2012年2月ミニ・アルバム『透明なのか黒なのか』をEMIミュージック・ジャパン(当時)より発売。2012年5月ミニ・アルバム『ランドリーで漂白を』発売。約半年の活動休止を経て、2013年3月1日活動再開を発表。5月5日から復活祭と称したツアーを東京/名古屋/大阪で実施。全公演ソールドアウト。2013年8月14日1st FULL ALBUM『公園デビュー』発売。作詞・作曲・プロデュースを務める津野の才能がアーティスト・クリエイターから注目を集めており、SMAP「Joy!!」の作詞・作曲、南波志帆「ばらばらバトル」などの作詞・編曲等の楽曲提供を行うなど、活動の幅を広げている。

http://akaiko-en.com/

 

 

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赤い公園

『猛烈リトミック』

発売中

http://www.amazon.co.jp/猛烈リトミック-赤い公園/dp/B00M20E65Q

https://itunes.apple.com/jp/album/mouretsu-rhythmics/id912742335

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