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赤い公園『猛烈リトミック』インタビュー 前編

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―デビュー・アルバムって、往々にしていびつなものではあると思うんですけど、けれど『公園デビュー』に関しては、これだけいろんな曲が書けますよ、演奏も手数豊富ですよ、どんな歌だって歌えますよ、みたいな全方位的に満たしたアルバムという印象があって。だからこそ、そこから次のアルバムに向けて方向性を見出していくのは難しかったのでは、と思ったのですが、いかがですか?

津野「あー、でもそれはまさに、『公園デビュー』のときは“名刺代わりの(アルバム)”っていうのを謳っていて。その当時は、今ほどラジオだったりテレビだったり、雑誌だったり出る機会は少なかったし、ほんとうにライヴ・ハウスのバンド、ただひたすらに――今でもですけど――っていう活動の中からできていった曲たちを、名刺代わりとしてまとめるためにはどうしよう?というところで、全方位に向けてできることを凝縮しようっていうのは考えていました。でも、今年に入ってから、さっき言った2月、3月のシングルで亀田誠治さんにプロデュースを頼んで、それがすごい大きなきっかけになって。簡単な言葉で言えば、誰が作ってるとか、誰が歌詞を書いてる、誰が歌ってる、誰が演奏してる……って、究極的に関係ないっていうか、そんなにたいした問題ではない、と。それで、自分が作った曲を、自分で育てるのが一番いいのか、それとも人に教えてもらうのがいいのか、って考えたときに、『いや、これはちょっと先輩の手が必要だな』って思ったんです。今まで全部セルフ・プロデュースでやってきたんですけど、素直に『この曲、いい曲にしてくれ!』って思って亀田さんの門を叩いたのがきっかけで、今年の流れが生まれてきました。それで、その2枚のシングルの3曲が、曲調とかじゃなくて、なんかこう、曲が持っているテンションがすごく高いなって思って。だったら、それをまとめるアルバムっていうよりは、後の曲もそういうもので構成したいなって考えたのが、方向性が見えたときなのかもしれないです。だから、シングルに引っ張られてって感じですね」

―佐藤さんはいかがですか? 先ほど、今回の『猛烈リトミック』は、ヴォーカリストとしての自分の存在意義を再確認できたアルバムだと話していましたが。

佐藤「なんか、『猛烈リトミック』と前作を比べてすごく思ったのが……昨日、帰り道に赤い公園の曲を聴いていて思い出したのが、初めの頃、赤い公園の曲やサウンドに対して、自分の声が合わなすぎるって感じていたことで。合わなすぎて、どうしようかなって。それだったら、もうほんとに一曲一曲、別の人になりきって、声色まで変えて歌おうかなっていう感じの振り切り方とか、そういう気持ちで『公園デビュー』くらいまでは歌っていたんです。そのやり方は、周りの人も『曲によって歌がぜんぜん違うね』とか言ってくれて、自分の武器にはなっているのかもしれないんですけど、そういう感じでいいのかなあって、たぶん『猛烈リトミック』のレコーディングに入るときに思っていた最中で。もしかしたら私のこの声じゃなくても、どれでも声を変えれば赤い公園の曲は歌うことができてしまうのかもしれない、と思って。で、いざ『猛烈リトミック』のレコーディングが始まって、なんだろう……前作とすごく違うのが、自分の気持ちに素直に歌えた、じゃないけど、感情をのせてみたりだとか、なんかとても素直に歌えたんです。自分が、こここうしたい、ここはもうちょっとこうやって歌ってみたい、っていうアイデアも、『あ、それいいね』って使ってもらえたりして。声を変えたりとか、曲によっていろいろ歌い方を使い分けているのも、自分の頭で考えて自分で発信していることだから、私が歌うことにもちゃんと意味があるなって思えて、ちょっと楽になった作品ですね」

 

(中編へ続く)

 

撮影 吉場正和/photo  Masakazu Yoshiba

文 天井潤之介/text  Junnosuke Amai

編集 桑原亮子/edit  Ryoko Kuwahara

 

赤い公園

高校の軽音楽部の先輩後輩として出会い、佐藤、藤本、歌川の3名によるコピーバンドにサポートギターとして津野が加入。2010年1月結成。東京:立川BABELを拠点に活動を始める。2012年2月ミニ・アルバム『透明なのか黒なのか』をEMIミュージック・ジャパン(当時)より発売。2012年5月ミニ・アルバム『ランドリーで漂白を』発売。約半年の活動休止を経て、2013年3月1日活動再開を発表。5月5日から復活祭と称したツアーを東京/名古屋/大阪で実施。全公演ソールドアウト。2013年8月14日1st FULL ALBUM『公園デビュー』発売。作詞・作曲・プロデュースを務める津野の才能がアーティスト・クリエイターから注目を集めており、SMAP「Joy!!」の作詞・作曲、南波志帆「ばらばらバトル」などの作詞・編曲等の楽曲提供を行うなど、活動の幅を広げている。

http://akaiko-en.com/

 

 

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赤い公園

『猛烈リトミック』

発売中

http://www.amazon.co.jp/猛烈リトミック-赤い公園/dp/B00M20E65Q

https://itunes.apple.com/jp/album/mouretsu-rhythmics/id912742335

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