——なぜ『ジェラシー La Jalousie』というタイトルなのでしょう?
フィリップ・ガレル「脚本執筆期間は6カ月だったが、そのあいだずっと原稿にはこのタ イトルが記されていた。原稿をベッド脇の小机に置 いて、このタイトルと一緒に毎晩眠り、毎朝起きていた。だからこれをそのまま使うのもありだと思ったんだ。ある日、『不和 La Discorde』と名付けようともしてみたが、すぐにこの単語は却下した。あるいは、私がこの単語に拒絶されたともいえる。「嫉妬(ジェラシー)」というのは『不和』よりひどい状態だ。だが同時に、『嫉妬(ジェラシー)』とは誰もがかつて感じたことのあるなにかであり、誰もが罪悪感を感じるもので、さらにはその正体を解明したいと思わせる側面もある。嫉妬とは謎だ。誰もがそれを相手にしたことのある、ひとつの謎だよ」
— この作品にはふたつの章があります。「私は天使を失わなかった J’ai gardé les anges」と「一触即発Le feu aux poudres」です。
フィリップ・ガレル「章立てはよくやることだ。撮影の際に役立つからだ。その後、章立てを取っ払うかどうか考えるわけだが、たとえそれが映画的ではないとわかっていても結局は残したくなってしまう。これは作品の出発点を忘れずにいるためのやり方なんだ」