——そのあたりからサイケを同時代的に昇華して歌も立たせることに意識が向いてきたのかな?
Alec 「うん、変わっていきましたね。ホントに最初から洋楽、邦楽の分け目も自分らのなかになかったんで。邦楽もいろいろ探そうと思えば探せたと思うけど、いい意味でも日本の最新の音楽情報があんまり入ってこなかったんですよね。MGMTとかカッコいいと思って、最近の音楽を聴くようになってからも、自然と洋楽ばっかり聴いてたし」
——だから、べつにドメスティックなロックに対するカウンターとしてこういう音を鳴らしてる意識もさらさらないし。
Alec「全然ないっすね。日本のフェスとかに出ると、もっといろんな音楽があってもいいのになとは思うけど」
——地元から早く出たいとも思ってた?
Alec「思ってました。それで神戸でライブするようになったし。身内でやってるのも楽しいんですけど、もっと新しいものに触れたいと思ったから。それは日本だけじゃなくて、海外にもバンドでいろんなところに行きたいと思ってるし」
Chew「『みんなでワーキングホリデーとかしたら海外で生活できるんちゃう?』って言ってたんですけど、『誰か1人でも違う地域に飛ばされたら終わりやな』ってなって(笑)。でも、いつかみんなで移住したいっすね。3月にSXSWに出て、USツアーをしたんですけど。8都市、8ヶ所、10公演。一発目のライブからお客さんの反応がめっちゃよかったんで。気持ちよさしかなかった」
Syu「最高やったな。また行きたいな」
Alec「あとはね、前によくみんなでヒッチハイクしてたんですよ」
——よくしてたんだ(笑)。
Ric「最近はやってないけど(笑)。金がないときはよくやってました」
Alec「神戸でライブが終わって、ヒッチハイクで地元まで帰るみたいな。ある日のライブ後にガストにいたことがあって。そしたら面白いおっちゃんが現れて。『自分らバンドマンか? 俺も昔、バンドやっとんたんや!』って。『どんなバンドなんすか?』って訊いたら、『聴かせたいから、今から家に帰って持ってくるわ!』って、ホントにカセットテープを持ってきてCDじゃなくてカセット(笑)。おっちゃんのバンドのメンバーは医者になったり、海外に飛んだりしてるらしいんですけど、今も続けてるみたいで。で、おっちゃんに『今、俺たち地元までヒッチハイクしててるんですよ』って言ったら、『俺が送ったるわ!』って車に乗せてくれて。Bobはそのとき神戸に住んでいて、Chewはまだメンバーになってなかったから、3人で乗せてもらって。その車でビートルズの”ハロー・グッドバイ”を聴いて、『ビートルズってこんなにヤバいんだ!』って思ったんですよね。そこからポップミュージックに対する意識が芽生えて」