NeoL

開く

Chet Faker『Built On Glass』インタビュー

chet_main

 

オーストラリアはメルボルン出身のシンガー・ソングライター、チェット・フェイカーことニック・マーフィー。2012年に発表したデビューEP『Thinking in Textures』が本国でゴールド・ディスクを獲得し、さらにローリング・ストーン誌が主宰した「Rolling Stone Awards」で最優秀インディペンデント・リリースを受賞するなど欧米のプレスからも注目の的に。オーストラリアのジェームス・ブレイク? そんな評判も聞こえてくるほど熱視線が注がれるなか、チェット・フェイカーが私たちの前にその全貌を遂にさらけ出したと言える作品が、今年4月にリリースされたファースト・アルバム『Built On Glass』だ。「人生がどう音楽に直接的な影響を与えているかを模索したかったんだ」と語るように、2年の歳月をかけたセルフ・プロデュースのもと、自身のルーツやその音楽性をさらに奥へと深く掘り下げるようにして制作されたという今作。ジャズやソウル、R&Bなどさまざまなモードをクロスオーヴァーするように纏い、気だるいアトモスフィリアの向こう側から聴こえてくるその艶やかな歌声には、どこかスピリチュアルな響きも感じられる。フジ・ロック出演を間近に控えたマーフィーに、電話で話を訊いた。

 

―デビューEP『Thinking In Textures』によって、あなたはキャリアの早い段階で瞬く間に大きな成功を手にしたように思います。この2年間を振り返ってみて、そのことによる最大のメリットとデメリットは何だったと言えますか?

チェット・フェイカー「メリットはもちろん、僕を今取り巻いている状況を与えてくれたことさ――自分の好きなだけ音楽を作り続けられる状況をね。デメリットは……ほとんどないけど、僕はずっと早く成功するほど落ちぶれるのも早いものだと信じていたから、周りの人たちに早くより多くの作品を出すようにプレッシャーをかけられるのがすごく嫌だった。自分のペースで、キャリアやファンの基盤をゆっくり積み上げたいと思っていたからさ。僕は今までもこれからも一生ずっと音楽をやりたいんであって、2年間だけの成功なんて欲しくない。そういうことが不安だったけど、実際には今のところ上手くいっているように感じるよ。今は周りの人にも恵まれているしね、良いチームを持つっていうのはすごく重要だよ」

―この2年間で経験した、もっともクレイジーな瞬間or出来事とは?

チェット・フェイカー「(笑)そうだね、やっぱり自分の曲がスーパーボウルで流れた時かな。とにかく変で、現実離れした感じだったよ。皮肉なことに、よく自分でもそんなことが起きたっていうのを忘れてしまうんだ。あまりにも自分の理解を超えていて、頭の中でしっくりこなくてさ」

1 2 3 4

RELATED

LATEST

Load more

TOPICS