−−そんな製作の裏話を伺うと、映画の中のふたりの関係性とダブって見えてきます。
ジョン「劇中の友情がリアルに感じられるのは、それがまさに僕たちそのものだからさ。ウディは終始ゆる〜い感じで、リラックスして演じてくれたしね。たとえ作られたセリフを口にしていたとしても、二人の間で交わされた呼吸はいつもと全く変わらないものだった」
−−あんな仲良しシーンを見せつけられて、きっと多くの映画人が嫉妬したはずです。ウディ・アレンとうまくやるコツがあれば、教えてください。
ジョン「まずは僕みたいに、偶然にも彼と同じ理髪師の世話になることが秘訣かな(笑)。まあ、それは冗談として、ウディと一緒に仕事をするのであれば、多少也とも彼の手厳しい批判に耐えられる人間でないとダメだよ。でも今回はそうした部分を差し引いても、彼に参加してもらえて本当に嬉しかった。僕は自分の感性をビリビリと刺激してくれる人が大好きなんだ。それは何もウディに限らず、ヒロイン役のヴァネッサ・パラディやその他のキャストに関しても同じことが言える。こういう人たちと仕事ができるなんて、オレってシアワセ!!って何度も強く思ったよ」
−−タトゥーロさんは、これまで俳優としても錚々たる映画監督の現場を体験してこられています。そういったキャリアはご自身が監督するにあたって何らかの影響をもたらしていますか?
ジョン「それは間違いなくあるだろうね。コーエン兄弟、スパイク・リー、ロバート・レッドフォード、サリー・ポッター……。とにかくいろんな一流監督の流儀を間近で見てきたことはとても良い勉強になっているよ。ディレクションの仕方や構図の決め方、それに現場の雰囲気づくりに至るまで、彼らから学んだことはたくさんある。まさに僕にとっての映画学校そのものだね」
−−これからも『ジゴロ・イン・ニューヨーク』みたいに素敵な作品、撮り続けてくれますよね?
ジョン「うん、来年の頭ごろには次回作に着手できればと思ってる。これまでは俳優として忙しかったし、なかなか監督だけ照準を合わせるのが難しい状況にあった。リスクの大きい仕事だし、ギャラのことを考えれば役者だけでも食っていけるしね。でもこれからはもっと精力的に、監督として挑戦の場を拡げていけたらと思う。差し当たっては今秋放送のTVシリーズなんかも手がける予定なので、楽しみにしておいてほしい」