−−素晴らしい。きっと多くのカップルがこの映画を観て関係性を高めることになると思います。ところで、この映画はデジタルを介したラブストーリーでありながら、なにかこう、有機的な温かみのあるシーンも併せ持っていますよね。たとえば、ホアキンがエイミー・アダムスの背後から忍び寄って足カックンするシーンがありますが、私はあそこで声を上げて笑ってしまいました。
スパイク「ああ、あのシーン(笑)。僕はイタズラを仕掛けるのが大好きなんだ。あなたもやったことあるでしょ?」
−−ええ、もちろん(笑)あれはあなたが仕掛けた、ハプニングシーンのひとつだったんですか?
スパイク「うん、少なくとも脚本には書かれてないものだった。たしか現場で思いついて、よし!これやっちゃおう!的なノリで盛り込んだんだ」
−−へえ〜!現場のムードがとてもよく伝わってきて、幸福な気持ちになりました。そういった空気作りの面で、普段から気をつけてることってありますか?
スパイク「俳優という存在はみんな十人十色で、それぞれの演技のプロセスを持ってる。そんな中で重要なのは、彼らが心から安心できる環境をつくってあげることなんだ。だって僕らはあらゆる俳優に対して、とにかく自分自身を全てさらけ出してくださいっていう、とてつもないお願いをしているわけだよね。そうやって泣いたり、怒ったりといったエモーショナルなことや、セクシャルなことまで表現してもらっている。だからこそ、『どんな演技でも、すべて受け止めるから大丈夫だよ』という気持ちがちゃんと伝わる現場であることをいつも心掛けてる」
−−主人公セオドアというキャラクターも素晴らしかった。その純度の高さに、監督自身の思入れの深さを感じました。
スパイク「うん、僕自身、ホアキンの演技に心を打たれて、共鳴しっぱなしだったからね。実は今回、多くのシーンを最小人数のスタッフで撮影したんだ。立ち会ったのはカメラマンと録音技師と、スーパーバイザーとスクリプターと僕くらい。モニターも置かなかったから、僕は常にカメラの横に立ち、彼の演技をじっと見つめ続けていた。つまりそこには僕とホアキン、ふたりきりの空間ができあがってたんだ。そういった意味でも僕らの心は常に通じ合っていた。今思い返しても、あれはとても親密なコラボレーションだったよ」
Photo by Merrick Morton/Photo courtesy of Warner Bros. Pictures
VOL.2へ続く