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スパイク・ジョーンズ『her/世界でひとつの彼女』インタビューVOL.1

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誰もが彼のことを奇才と呼ぶ。その発想は常に奇想天外。いたずらっ子のように無邪気な眼差しで観る者を斬新な驚きへといざない、それでいて時折、胸の張り裂けそうな切なさや、心の襞に触れるほどの優しさで包み込んでくれる。そんな現代の魔術師、スパイク・ジョーンズ監督による4年ぶりの長編作『her/ 世界でひとつの彼女』(6月28日ロードショー)がいよいよ日本公開を迎える。近未来のLAが舞台の本作は、愛を失ったばかりの男と、人工知能搭載のOSが恋に落ちてしまう異色のラブストーリー。果たして彼がこの作品に込めた想いとは? 映画を彩る音楽、ファッション、そして唯一無二の妄想術に至るまで、じっくりと話を訊いた。

−−お会いできて興奮しています。今回の『her』は、人工知能と人間の愛を描いた風変わりな物語ですが、その中身はとても美しく、刺激的で魅了されました。人工知能である“サマンサ”にはもちろん肉体がありません。そんな彼女と、人間のセオドアとの関係を描く上でどんな点を重視しましたか? 

スパイク「そもそも片方の相手しかスクリーンに登場しないラブストーリーを作るのって、無謀なチャレンジだよね。でも、脚本を書いてるとき、あるいは撮影中に僕が一番大事にしたのは、むしろ人と人とのリレーションシップだったんだ。僕はこの映画を通して『人と人との繋がりってなんだろう?』という根源的な問いに立ち戻りたかった。以前みんなで話したとき、ホアキン(・フェニックス)やスカーレット(・ヨハンソン)も同じようなことを語っていたよ。きっと彼らは彼らで同様の意識に辿り着いていたんだね」

−−肌と肌とで触れ合えない二人の姿には、孤独感のようなものも感じました。

スパイク「それはもちろんあるよね。でも仮にそれが人間どうしのカップルだったとしても、同じように何かしらの限界を抱えてるんじゃないかな。だからこそ、じっくり話し合って、共に壁を乗り越えようとする。そうやって互いの悩みや気持ちを共有することによって“繋がってる”と感じることができる。僕が日本で望むのは、できればこの映画をカップルで観てほしいということなんだ。そうしたら観賞後、いつもはなかなか口にできない想いについてパートナーと腹を割って話し合えるようになるよね? どうだろう、僕のアイデアは?」

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Photo courtesy of Warner Bros. Pictures

 

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