—たしかに。そして、この曲を聴いてから、次のツアーのタイトルが「World Will Listen」であることを思い出すと、どうしてもスミスの“meat is murder”を思い出してしまうわけですが、あまり関係はない?(笑)
小林「いや、あとから気づいたんですけど。他の取材でも”meat is murder”の話をされて。あれは”肉食うな”って話じゃないですか。僕、どっちかって言うと、肉とか普通においしいと思うよね、と。”meat is murder”と同じようなモチーフを歌ってるけど、言ってることは真逆というか、『野蛮だから肉食うな、っていうのは、むしろ野蛮だよね』っていうか、『でも他人ごとだから関係ないけど』っていうところまでの気分はあるよっていう」
—でも“meat is murder”もタイトルや歌詞の一部がそうなだけだから。
小林「そう。要は軽蔑や自分の美意識を追求すると、こういう気に食わないことってあるよねっていう、モリッシーはずっとそういう表現じゃないですか。だから常にスミスやモリッシーには何らかの着想を得ることは多いんですけど、僕はこの曲で何かと戦ってるとか、何かに抗ってるとか、エネルギーが必要なことは一切してないというか。真顔で『いい天気だね』って、ちょっと微笑んでるぐらいの感じです。まぁ、『想像してごらん』っていうか、ジョン・レノンみたいな感じですね」
—“イマジン”はもうちょっとおせっかいな感じかもしれないですけど。
小林「おせっかい(笑)。でもそうなんですよね。人によっては『うるせぇな』と思う歌詞とかあるじゃないですか? THA BLUE HERBとか大好きだけど、人によっては『言われなくたってわかってるよ』ってリスナーもいるだろうけど、そもそもおせっかいだったりしないと、ステージに人って立たないというか、誰かに何かを言おうとすることだから。だからそれが長続きしなくなったり照れくさくなってくると、人って表現が変わってくると思うんですけど、でも僕はたぶんまだ時によって、人にわざわざ悪態をついてあげたり、嫌ってあげたりしてしまうぐらいはお人好しなんで、しばらくは大きな世話を焼くのかなと思います」
(後編へ続く)