ーとくに“In and Out of Sight”には、ジョルジオ・モルダーだったりクラウトロックのモータリック・ビートが融合したような感覚もありますが、こういったダンス・ミュージックへの関心っていうのは昔からあったんですか?
ファリス「最初にモータリック・ビートに挑戦したのは、たぶんセカンド(『プライマリー・カラーズ』)の"Sea Within A Sea”のときじゃないかな。ただ、特定のジャンルを意識してたというよりは、バンドとして成長したい、新しいことに挑戦したいって気持ちから、ああいう音に辿り着いたんだよね」
ーなるほど。たとえば、世間一般で思われている「ダンス・ミュージック」じゃなくてもいいんですけど、ビートやグルーヴといった部分であなたがシンパシーを感じるアーティストがいたら教えてもらえますか?
ファリス「最近のもので?」
ーいや、いつの時代でも、いちばん好きなやつでいいです。
ファリス「そうだなあ……メンバー全員とも基本的に音楽なら何でも聴くんだけど、とりあえず何かしら感じさせてやるっていう強い意志を持った音楽が好きで……それと作り手の情熱だったり、音に対してワクワクしてる気持ちが伝わってくるような、何か新しいことをやってやろうっていう探求精神が感じられる音楽が好きなんだ。自分達が音楽を聴いてていちばん盛り上がるポイントはそこだし。そういう人達はいつの時代にもいて、それこそクラフトワークにしろ、デイヴィッド・ボウイにしろ、ボー・ディドリーにしろ、つねに新たな表現を開拓してやろうって意気込みに溢れてたよね」