天野「でもその言葉が持つイメージというか、そういう“悪さ”はないよ」
TAIGEN「悪くないです(笑)。ドラッギーと言われることもありますけど、僕らは至極健全なので」
天野「それは60年代のイメージだものね」
TAIGEN「そうですね、新しいサイケデリックという定義みたいな感じで言っていただけるのがすごく嬉しい。
あと僕らが言われるのが『洋楽、邦楽どっちなの?』みたいなところで。日本は洋楽しか聴かない、邦楽しか聴かない、っていうのが多いので、そこを混ぜていくのはチャンスでもあるし、ウチらがしていかなきゃいけない使命というか。
海外だと業界同士が近いんですよね。音楽だけじゃなくファッションやアートがとても近くて。僕たちがヴェネチア・ビエンナーレやV&A(ヴィクトリア&アルバート博物館)などに出させていただいて、ホワイト・キューブ(ロンドンを拠点に世界に展開する現代美術ギャラリー)のオーナーであるジェイ・ジョプリンの誕生会で演奏をやらせていただいたのも、海外だとライブにお客さんが観に来るのが、お酒を飲みに居酒屋へ行くみたいなノリだからだと思うんです。色々な業界の方が単純に面白がって、というのが多い。ライブに来てくれて面白いと感じていただいた後に、僕らはこんなことやっているんだと話しかけてくれて、そこでお互いが面白いと思ったら次のステップに行けるんですよね。
そういう過程というか、政治的なことがなくいきなり一緒にプロジェクトをできる楽しさはロンドンにいて感じます。色々な場所でやらせていただくことでジャンル感、業界感みたいなものが薄れているし、そういう風に型にはまらず観ていただけるのはとても嬉しいですね」
天野「それぞれの都市によって特徴はありますが、僕は美術館のキュレーターとして、各国の同業者やギャラリーの関係者、コレクターやアーティストと関わるんですよね。そうするとロンドンはまだ色々なクラスがあるんだなと感じます」
TAIGEN「そうですね、階級というか」