ーそして今作のトラックの特徴は?
OMSB「うるさくてイカついところですかね(笑)」
ーOMSBのトラックのスゴさをどんなところに感じていますか?
USOWA「いろいろなビートメイカーの人に頼んで聴かせてもらったりもするんだけど、最近すごく感じるのは、OMSBの後に聴くと話にならないってこと。ノリや揺れている次元が違う感じがある」
MARIA「あと、ヒップホップを愛する心じゃないですかね」
DJ ZAI「聴けばOMSBのトラックだなってわかる。ドクター・ドレーとか、聴けば一発でわかるじゃないですか。それがOMSBにはある」
MARIA「OMSBもすごくいいけど、私が期待しているのはHi’Specで。アルバムの評判を見てて、いいねって曲名をよく挙げられるのが“Worth Life”と“Circle”。それはHi’Specのビートで。彼が作るビートもどんどん変わってきているんだなと思う」
Hi’Spec「トラックの感覚というんですかね、それがしっくりくるようになったのが、ここ1~2年くらいで。今まではきっちり、完璧にし過ぎていたんですよ。雑さや粗さを活かせていなくて。OMSBのトラックを聴いていたら、自分でそれに気付いたんです。最初はクリアな音を目指していて、『レコードのプチプチ音がなんで入っているんだ!』みたいな感じだったけど、今はプチプチ音が入っていないと嫌で。幅がすごく広がった」
MARIA「その幅が広がった中にも絶対にHi’Specにしか作れない、らしさがあると思うから」
ーここまで正直に褒められたことってあります?
Hi’Spec「たま~に電話で言ってくれたりしますよ。今までに2回くらいかな(笑)。俺もMARIAの作品をヤバイと思ったら電話するし」
ーお互い、結構励ましあっているんですね。
MARIA「やっている。この間、JUMAからメールが届いて。『“Mind Over Matter”のMARIAのバース、やっぱりヤバイわ』って書いてあったからマジでありがとうって伝えて。私、USOWAもなんか褒めた気がする」
USOWA「褒めていただきましたね、MARIA様に(笑)」
MARIA「USOWAが本当に決定的だったのが“Karma”。マジ頭がいい」
USOWA「うちの親があるインタビュー記事を読んで言っていた。『MARIAちゃんがあなたのことをマジ頭いいって書いていたわね』って(笑)」
MARIA「USOWAはいつも安定したフロウなんですよ。でももっと変態な部分が見たくて。本当に“Karma”に関しては感覚でやっている感じがあって。聴いていて楽しいし、すごく好き」
USOWA「あれ、実は感覚ではなく、ロジック、ロジックしていて。計画的な部分がある」
MARIA「なんだ、騙されたよ(笑)」
USOWA「ケツの4文字、全てを同じ韻で踏んだらヤバイだろうと思って。全部同じ母音にしてやろうって」
MARIA「でも新しくない? USOWAのああいう感じのフロウって。間をとるというか、その感じがすごくよかった」
ーよくよく考えて作ったのに、感覚的に聴こえるって不思議ですね。
MARIA「多分、普段のUSOWAの安定感が計画的に聴こえているから、違う一面を見たことで感覚的に聴こえたんだと思う」
ーまさに確信犯的(笑)。
USOWA「してやったりですよ(笑)」
(中編へ続く)