—アナログ機材には不思議な小人がいるっていうからね(笑)。で、そういう意図を持った上である程度の曲を録りためてからPeter(Franco)を訪れたの?
アントワン「うん、そう。19曲から18曲くらい持って行ったかな……」
フロー「確か、最初に17曲持って行ったよ」
アントワン「そこからPeterの元で12曲に絞り込んで、それをロサンゼルスからパリに持ち帰って作業を続けた感じだよ」
フロー「元々(2011年の)9月くらいから曲作りをしていて去年の4月くらいにLAに行ってPeterの元でプリプロの作業をするまで、ずっと曲作りしていた感じだったよ」
アントワン「もちろん曲もある程度仕上がっていたのもあれば、ほぼデモのままだったのもあったしね。歌詞なんかは特にそうだったね(笑)」
—Peterとまた仕事するいきさつはなんだったの?
フロー「前回のアルバムもプロデューサーの一人として関わってくれていたし、ごく自然な流れで今回も一緒に仕事をする感じになったんだ」
アントワン「それとお互いの間で兄弟意識みたいなのもすでにあったからね」
フロー「うんうん。自然とだよね」
アントワン「次回のレコード向けにあれこれやってみようって話し合っていた仲だったし、また一緒に仕事することになったのは、本当に、ごく自然な流れだったよ。Peterと作業をする為にLAへ行かないとだめだったのはちょっとしんどかったけどね……(冗談を意味して、机をノックしながらウインクする)」
—え、それはどういうこと? ハンバーガーばっかりの生活だったとか(笑)?
アントワン「ハンバーガーばかりの生活だったというよりは、今回、ベンチュラ通りのある一軒家をスタジオとして改造してレコーディングを行って来たんだけど、近くに”Casa Vega”っていう有名なメキシコ料理屋があったから、今回はハンバーガーよりメキシコ料理が多かったよ。あのお店で良くハングアウトしていたりもしたしね」
—まさか、今回それでアルバム・タイトルを『Ventura』にしたの?
アントワン「そう、ベンチュラ通りと、”Ventura”っていう言葉がラテン語で”運命”や”幸福”を意味する言葉だからというのもね。それと、今回のレコーディングにおいては、先程話した通り、特にアナログ機材の”マジック”というか、チャンス任せな巡り会いだった部分もあったというのもあるよね」
(中編へ続く)