出世作『ナイツ・アウト』のナードなシンセ・ファンク・ポップがインディ・ファンを夢中にさせた、鬼才ジョセフ・マウント率いるメトロノミー。黒人ベーシスト&女性ドラマーを含む4人組となり、AOR風のケレン味も増した2011年のサード・アルバム『イングリッシュ・リヴィエラ』はマーキュリー・プライズにノミネートされるなど、批評家筋でもその評価はとても高い3年ぶりとなる最新作『ラヴ・レターズ』では、60年代のモータウンやウェスト・コーストのサイケデリアも彷彿させるグルーミーなサウンドを披露。ドゥーワップや女性コーラス(先日の「NME」アウォードではシュガーベイブスのオリジナル・メンバーと共演!)を織り交ぜ、アナログ感あふれるプロダクションが楽曲のメロディアスな魅力を際立てている。この夏には、4回目の来日となるサマーソニック2014への出演も決定。現在、ツアーで多忙な日々を送るジョセフにメール・インタヴューで聞いた。
(前編より続き)
—ところで、今回のアルバム・タイトルは収録曲の“ラヴ・レターズ”から取られていますが、「ラヴ・レター」ではなく「ラヴ・レターズ」と複数形なのには何か意味があるのでしょうか?
ジョセフ「実は理由は分からないんだ。ただ、もっと理に適っているような気がしてね。複数形にすることでたくさんの手紙がやり取りされた感が出て、ストーリーが長く感じられる気がする」
—今回の歌詞では、失恋や孤独、喪失といったテーマが描かれていますが、たとえば、あなたが音楽をやっていて満たされた感覚を覚える瞬間とは、どのようなものなのでしょうか?
ジョセフ「そういう感情がみんな絡み合っているんだと思う。僕の音楽は自分に孤独を感じさせることもあるけど、それが曲作りに役立っているから、孤独を悪いものには考えていないんだ。僕は生きていく中で、様々なものから充足感や満足感をたくさん味わっている。ひとつの感情に心から感謝したりそれを手に入れたりするには、もう一つの感情が必要なんじゃないかな」
—「愛」については、楽観的ですか? それとも悲観的ですか?
ジョセフ「僕はとても楽観的なんだ。僕の知る限り、愛を超えるものは科学とテレビしかないと思う。だから、愛は常にいいもので、常に勝つものなんだ!」