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アカデミー賞最多7部門を獲得した『ゼロ・グラビティ』。その栄光の裏に隠された秘話を、主演のサンドラ・ブロックとアルフォンソ・キュアロン監督が語る。

GRAVITY


サンドラ:そうする必要があったのよ。ランチを食べないで、出かけて行ってワークアウトする。ダンスに根付いたものね。ストレッチングとか、すべてのコアを鍛えるものよ。ビジュアル的に私が目指す体にシェイプにしたの。感情面でも美的感覚においてもね。私は体幹強度を失うことをとても恐れていたの。キューブの中に入って、必要なことをやれないということになりたくなかったから。怪我の予防のためにも、体幹を強化し、柔軟さも意識したワークアウトしたわ。

アルフォンソ:彼女は国際宇宙ステーション(ISS)の宇宙飛行士と話をしたんだ。電話でね(笑)


サンドラ:女性宇宙飛行士と話したわ。とても面白いと思ったのは、彼女が『何かを壁などにバウンドさせると、あなたが止めるまでそれはずっと動き続ける。それを止めると、今度は(それを止めた)自分が動き始めるの』と言う話。宇宙で学ぶことを聞けたのよ。自分の体がどのようになるかとか、どんなことが不可能なのか、どうやってトイレに行くかとかね。

「サンドラの素晴らしいところは、きっかけに溢れている点だよ。感情面のきっかけだけでなく、タイミングにおいてもね。」(アルフォンソ)


—この映画は、あなたが宇宙にいるだけで、ほかに誰もいないというユニークな作品です。どんな演技が要求されたのでしょうか?
サンドラ:アルフォンソの言葉を、イヤホンを通して聞くんだけど、視界は完全に真っ暗。『サンドラ、アルフォンソだ。どうしている?』『私は大丈夫』って感じでね。彼はそのとき神のようであり、セラピストみたいであり、私の頭脳だった。
毎日、キューブ(状の装置)に入っているか、12本のワイヤーリグに吊られている状態。テクノロジーの進歩には驚いたわ。私の体全体をレーザーで3Dスキャンし、私の胸のカーボン・ファイバー・コピーを作ったの。それはすごく薄いから、本当にここに(サンドラの体に)重ねることができる。そしてすべてのワイヤーをそこに取り付けて、私は浮くことができたの。…それを操作するのは、問題だったのだけれど。
(シーンをバラバラに撮影しているために)そのとき必要とされている状態がわからない時は、アルフォンソがやってきて、私にその時の息づかいがどうだったかを思い出させる。『オッケー、僕らは今、息が荒れている状態にいる。あなたが前にやった息づかいを聞いてみて』って。もしなにか撮影したものがあったら、彼はそれを私に見せてくれる。私がどんな感じだったかを聞くためにね。そうして息を荒くして、その場所に戻ることができるわけ。体操のトレーニングとか、母親がオペラ歌手だといか、役に立たないと思っていた小さなことが、今回の撮影では大きな手助けになったわ。


アルフォンソ:サンドラの素晴らしいところは、きっかけに溢れている点だよ。感情面のきっかけだけでなく、タイミングにおいてもね。宇宙空間を想定した撮影はすべてコンピューター化されていて、本当に悪夢のようなんだ。彼女は苦しんでいたよ。僕たちが使ったコンピューター・システムでは、彼女がただ演技をして、カメラがそれをとらえるといったものではなかった。彼女は、事前にプログラムされたタイミングを正確に演じないといけなかった。ところが、彼女のタイミングは本当に驚くほど正確だった。さらに、そういった瞬間を正確にヒットしながら、感情面で自由でいられるのもまた素晴らしいことだった。それは実に大きなチャレンジだったと言えるね。

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