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パスピエが語る、未来へ向けた新たな挑戦としての原点回帰(後編)

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—で、「Shangri-La」のカバーも完全独自の解釈を施していて。

成田「バンドで作られていない原曲をバンドで表現するという壁を越えることに興味があって。男性ボーカルものを女性ボーカルが歌うという部分もそうですし。原曲が夢物語、多幸感というニュアンスがあるなかで、自分たちがいま感じている時代のムードを取り入れたらどういうサウンドになるのかなと思ったんですね」

——シリアスな空気とか。

成田「そうそう。いまの時代って理想郷は描いても現実にはならないだろうなという感覚がすごくあると思うんですよ。みんながクレバーにもなっていて、理想と現実の距離感をすぐはかるというか。『楽しいからいいじゃん』っていう感覚が希薄になっているからこそ表現できる音があるだろうなと思って」

—それが音の歪みにも繋がったり。

成田「そう。大胡田の声もいい意味で人を幸せにする方向性ではないので」

大胡田「あはははは(笑)」

—それは魅惑的とも言えると思うんですけど。

大胡田「ありがとうございます。カバーは楽しいです。人の言葉を歌うのも大好きなので。(成田に向かって)またカバーやりたいなあ」

成田「なるほど。考えておきます(笑)」

—最後に、あらためて2014年はどう攻めていきたいか、その展望を語ってもらえたら。

成田「これまでの話にも繋がってきますけど、リスナーが音楽を分析しやすい時代だと思うんですよね。そこを踏まえてクレバーに生きるのか、全部無視して突っ走るか、どちらかだと思っていて」

—パスピエはその中間に立ちたいという意識でしょ?

成田「そうですね。道筋ができているのなら、それ以外のところに立ちたいと思う。いまだにメンバーの顔を露出してないのもその一手だと思っていて。まだまだ『どういうバンドなんだろう?』って思わせたいし、リスナーの想像力をもっと喚起したいですね」

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