多様な音楽性やアートとの親和性を含め、未だ実像をはかりかねる存在であるパスピエ。確信犯的にプリズムのごとくカラーを変えながらも、中軸にあるオリジナリティと卓越した先見性でもってシーンに確かな爪痕をたてる稀有な存在だ。そのパスピエがメジャー1stフルアルバム『演出家出演』から約10ヶ月というスパンで両A面シングル“MATATABISTEP/あの青と青と青”をリリース。彼らの次なる一手は、そして彼らから見たシーンの動向とは。
—『演出家出演』から約10ヶ月、どんなモードでこの両A面ニューシングルの完成に至ったかという話から聞かせてください。
成田「2013年はアルバムのリリースに向けて、またそこからのツアーや夏フェス、年末のフェスを見据えてパスピエの肉体的な部分をフィーチャーすることやライブを意識した制作に重きを置いてたんですね。それって僕らの音楽性やバンドの体質からするとイレギュラーなことでもあって。今年はまた原点に立ち返るというか、もちろんライブも意識しつつ、根底には音源を聴いたリスナーにさまざまなことを想像してもらったり考えてもらえるような曲作りをしたいと思っていて。パスピエの楽曲にある情報量の多さについてもそうですし」
—狙いどおりにライブの手応えが増したからこそそう思える部分も強いでしょう?
成田「そういう部分もありますけど、僕個人としてはライブの盛り上がりもビギナーズラックのようなものだと思っているので。だからこそ毎年勝負だと思ってますけど、今年は特に正念場かなと思ってます」
—絶対に慢心しないところがナリハネらしい。
成田「いやいや(笑)」