ふたりの若き才能が抱く今後のヴィジョンとは?
2014年の邦画界における最大の衝撃作『愛の渦』。果たして主演のふたりは、完成した映画をどのように受け止めたのだろうか。
池松は何よりもその仕上がりを賞賛してこう語る。
「想像以上に、主人公ふたりの話に集約されていたなって驚きがありました。そして、“エロス”という要素を入口にしながらも作品自体は決してエロくなく、むしろ音楽や映像を使って高い品格を保っている。さすがだなって思いました」
門脇は「すごく面白かった! 笑えるシーンがたくさんありましたね」と全体を俯瞰しつつも、やはり自身の出演シーンに目を向ける。
「私、みんなが盛り上がるシーンでも、ひとり無言で俯いていることが多いので、ああ、みんな楽しそうだな〜と感じながら観てました(笑)」
さて、インタビューもいよいよ佳境。最後に才能あふれる若きふたりが今後どのような俳優を目指そうとしているのか、その豊富について訊いてみた。
この手の質問は定番とはいえ、答える側にとってはある種の苦難を伴うもの。なんだか就職面接のようで照れくさいし、中にはジンクスのために答えてくれない人もいる。
池松は「うーん、難しいなあ……」としばらく間を置きながらも、いざ話し始めるとその表情はまっすぐ。真剣そのものだった。
「こうやって表舞台に立つ以上、自分が心から面白いと感じられたものを胸張って『観てください!』って言いたいですよね。もちろん、そんな具合にいかない場合もあるってことは充分に理解しているつもりで、だからこそ、こうしていま『愛の渦』のことを『面白いですよ!』って多くの人に言える自分がものすごく幸せに思えるんです。今後もこういった作品にたくさん携わり続けることが、俳優にとって何よりも大切なことなんだろうなあって」
対する門脇は「これといったこだわりはないですね……」と前置きしながらも、今後の決意表明とも取れる言葉を口にした。
「自分の好きな世界観だったりは、ぼやっとですがなんとなく分かってきたような気もしていて……。でもそこだけに目を向けていると自ずと道が狭まってしまう。作品の内容、役柄はもちろん、テレビや舞台といった領域も含めて、自分の可能性を狭めずにいたいですね。今はただ、私にやれることを誠心誠意やっていく。そうしたことを積み重ねた上での十年後に、自分が一体どこにいるのかなって、すごく楽しみな感じです」
徹頭徹尾、自分を飾らない真摯な言葉が印象的な二人だった。『愛の渦』を経た彼らが今後、俳優として、表現者としてどのような飛躍を遂げていくのか楽しみでならない。
『愛の渦』池松壮亮、門脇麦インタビュー vol.1はこちら
『愛の渦』池松壮亮、門脇麦インタビュー vol.2はこちら