「編集ってどんな仕事ですか?」とよく聞かれます。
確かに編集って裏方だし、媒体によっても全然違う作業があるし、なかなかわかりにくいよなあと思います。
「取材して記事を書く」のが編集と思われている方も多いのですが、記事を書かない編集スタイルもあります。
本当に多種多様なスタイルがあるので、私がやっていることを書きます。
●まずは企画を立てる。
新人時代、先輩からは「編集者は企画が命! 一週間で50本企画考えてこい!」などと言われてました。
公開タイミングの映画やCDリリースなどタイミングのよい作品があればその作り手や作品をどうすれば広くよく見せることができるかを考え、リサーチします。タイミングとは別にフィーチャーしたいもの、人があればそれも同様に考え、タイミングがないからこそどこで出すのが効果的かなども考えます。
で、その中からベストだと思う企画を出す、または複数の良案/サブ案を出す。
●そこから企画を通すプレゼンが始まります。
登場していただく人やクライアントへのプレゼンもあれば、編集長でも部内プレゼンするところもあります。
予算から可能性まで企画を通す段階で心折れることも多々ありました。言葉が上手に使えなくて歯がゆい!というのは取材に限らず、このプレゼンでも発生します。私、いつもめちゃくちゃ心折れてました。。。感覚で動いてしまうところがあって、ロジカルに話せないというのが悩みで、今もそれは自分の弱点だと思ってます。
●企画が部内やマネジメントなどを通過すると、具体的に日程調整、スタッフィングに入ります。
アートディレクターがいる媒体は相談しながらフォトグラファー、ヘアメイク、スタイリング、ロケーションなどを考えるのですが、組み合わせというのがあるのでそういうところにも配慮しながら。NeoLではアートディレクターがいないので編集部が考えています。
●バジェットやらコンセプトやらを提案して了承いただき、諸々組み立て終わったら、いざ撮影取材となります。
撮影ということでいうと、以前長くお仕事させていただいていたアートディレクターは、大枠とアイデアは出しながらも、あとはフォトグラファーなどのクリエイターやスタッフ、被写体を信頼して現場ではどっしりと構えるタイプでした。もちろん現場では瞬時の判断が求められることがあるのでそこはしっかりこなしながらも、わりと自由にやってもらう感じ。その場で出たアイデアでも面白くて相手も受け入れてもらえそうなら採用するし、逆に撮るべきベースがしっかり撮れてなければそちらに導くというような。
アートディレクターによっては寸分の隙もなく組み立てる方もいるのでそこも媒体によって全然違うと思います。
私はそのアートディレクターの影響を強くうけているので、現場ではクリエイターに任せて、どちらかというと「お茶足りてますか?」とか「イス座りますか?」みたいな細かいこともやってたりします。そういう気遣いもディレクションとは違う意味で大事です。
もちろん一番大事なのはやっぱりディレクションだとは思いますが現場の雰囲気を作るのも仕事だと思います。しかも結構大事な。その場が楽しくてもうまく結びつかないこともあるにはありますが、大体はその場が盛り上がった熱量は作品にも出ると思ってます。
あと、お願いするクリエイターさんがとても優秀なので、事前に打合せしておけば現場でピリピリしなくても大丈夫なんですよね。たまにハプニングもおきますが、あわあわすると余計現場が混乱するので「大丈夫」な雰囲気を出しておくというのもあります。
撮影だけじゃなく自分で取材するときも多いのですが、取材と撮影両方やる場合は違う頭を使ってる感じです。取材の時は、リサーチもしますが、なにか受けたときの印象を大事にもっていきます。人に意見を聞くときは、まずは自分の意見を述べるのが礼儀だろうと思っているので、最初から質問をするよりは、自分が受けた印象を基に聞くということをします。撮影でのフォトグラファーさんとかメイクさん、スタイリストさんもそうですが、プロのライターさんの取材はすごいなあと思う場面が沢山です。言葉のマジックを目の当たりにすることも多々あります。アドレナリンで花粉症のくしゃみも鼻水もとまるくらい現場はすごいことが沢山起こっています。真剣勝負なので当たり前ですが、こういう真剣勝負は日常にそんなに沢山あるわけではないので、そういう機会に触れられるのはやはり醍醐味です。
●撮影や取材が終わったらそこから写真のセレクトや記事校正、レイアウトができます。
一発でOKいただける場合もあれば、意見があわずに折衷のため頭下げまくったりもします。あまりありませんが、時には怒鳴られたりもします。折れていただく場合にはそのためのリカバーとして何ができるかも考え提案もします。ここ、胃が痛いところですね。そこでの対応が後に響いたりもするので、ううううと思いながらも歯を食いしばって頑張るのみです。編集はいろんな人たちの間にたつ仕事だから、責任転嫁しようと思えばできちゃうのですが、しだすとキリがないのでひたすら頑張るのみ。
で、最後、みんなの意見がまとまって完成となり、お披露目です。
(あ、予算管理というのもあります。。。ひとつの案件でどれくらいかかったか、など。。。これも相当歯を食いしばる場面です。。。)
書いてみると結構プロセスがありますね。
でもこれはあくまでNeoLでの作業なので、繰り返しますが他の媒体はまったく違うということもあります。
他にも普段から情報収集はしていたり、お付き合いでいろんなところに顔出したり、時間に追われて原稿書いてたり、色々あります。
忙しそうに思えるし、実際大体かけずり回ってますが編集は楽しいです。企画考えるのも楽しいです。
そもそも好きなものが多すぎてこういう仕事をしているので、違うジャンルだけど共通するものがありそうなものを見つけたり、フレッシュなものに出会えたりするとワクワクします。
編集は裏方だと思っているので、あまりこういうことをお伝えする機会もないのですが、編集希望の学生さんによく質問を受けるのでざっと書いてみました。
最後に宣伝です。
3/24(月)@リキッドルームにて「NeoL Sat vol.1」を開催します。私が大好きなアーティスト、クリエイターさんに一挙集合してもらってのお祭りです。スペシャルゲストも登場します。
こういう企画ができるのは編集冥利に尽きます。ご協力いただいているみなさま、本当にありがとうございます。
ぜひみなさん 、ご来場いただき、楽しんで、何か毎日を過ごす糧にしていただければ幸いです!
桑原亮子