時間があっても、気持ちに余裕がないと料理は上手に作れない。
と、感じることがしばしばあります。形にはなったとしても、おいしくない。そうなることが目に見えているのなら今はやめておこうと、危険を察知して手を出さないことがよくあります。私の欲する度合いが高い食べ物であればなおさらです。
いわゆる季節の手仕事系の食べ物に多いでしょうか。最近、魚売り場ですじこを見かけるたびに、心行くまでイクラが食べたいと欲していました。でも、その作業の煩雑さを思って手を出さずに無駄に時だけが経過していきました。しかし今年の旬はいつか終わる。そう思い、えいと手を出しイクラのしょうゆ漬けを作りました。仕事がひと段落して、気持ちに余裕が出たからかもしれませんね。
手前味噌ながら上出来です。家族からの反応も上々でした。謙虚ではない私ですから、「それはそうだろう」とばかりに、作る過程の煩雑さと、いかに丁寧な作業をほどこしたかを説いてみましたが、おそらく彼らには私の伝えたい気持ちの半分も伝わっていないでしょう、きっと。すじこを扱ったことがある人なら共感してもらえると思うのですが、はっきりいって面倒くさい。周りにぺたりとはりついた膜の類を取り除いて、ぷりぷりと独立した卵に開放して仕立てるのは、なかなか手のかかる作業なのです。
と、渾身のイクラのしょうゆ漬けがメインのお弁当。おいしくないわけがないですね。はい、自画自賛です。ほうれんそうのおひたしと、キャベツのナムルも入れてみましたが、本当のところ、今日は野菜ゼロだっていいぐらいです。愛しのイクラさえあれば。
