ここから出産編です♥
予定日を3日すぎた日。朝から鈍い痛みが押し寄せては引いていくので、も、もしや…と思っていました。おしるしもあり、仕事先の夫に連絡して家に帰ってきてもらい(こういうところ、アイスランドはフレキシブル☆)、日本から駆けつけてくれていた母と3人、家でスタンバイ。この頃はまだ前駆陣痛で、執筆中だったガイド本の担当編集者さんとやりとりしたり、みんなで映画をみたり、自分でもびっくりするくらい余裕があったなぁ…
だんだんとひどくなってくる痛みに耐え切れなくなってきて、ひとり寝室のベッドで横になっていると、リビングから映画に大笑いしている夫と母の声が聞こえてきて、かなり気が紛れました(笑)ちなみに2人が見ていた映画がひつじのショーン〜バック・トゥ・ザ・ホーム〜おすすめです!(笑)
それから母に腰をさすってもらっていると破水。病院に電話すると、すぐに病院にきてください、ということだったので夫の運転で3人で向かいました。
ちょうど看護師さんの賃上げのストライキ中で、病院内は閑散としていました。受付には誰もいなかったので(!)、自分で看護師さんを見つけ、診察室へ。早速助産師さんに診てもらうと、家で待機して、陣痛の間隔がもう少し狭まるのを待ってもいいかもねぇ〜とのんびり言われ、びっくり!家に帰されることもよくある、とは噂で聞いていたのですが…
ただ、破水した羊水の色が緑色(=赤ちゃんがお腹の中でウンチをしたということ。余計なストレスがかかっている可能性がある。)だったため、キッチンやソファ、テレビなどがある待合室で陣痛の間隔が狭まるのを待つように、と言われました。冷蔵庫に入っているヨーグルトや果物、コーヒー、紅茶、好きに食べていいですよと言われましたが、どんどん強まる陣痛にそれどころではなく。20分くらい待ったのですがそれはそれは長く感じました。
やっと案内された分娩室は広々としていて、分娩台のほかに浴槽やバランスボール、レイジーボーイチェアがあってすごく豪華!同じ部屋ではありませんがイメージはこんな感じ。
分娩台の脇には笑気ガスが備えられていて、陣痛がやってきそうになるとマスクをつけてすーすー吸引していました。酔っ払ったみたいに意識がふわふわして、最初のほうは痛みが軽減されるのですが、最後のほうになると強烈な痛みにまったく効果なし!(使う人によってはすごく助かった、という声もあります。)わたしの場合、バランスボールでバウンスしていると一番楽だったので、出産ぎりぎりまで上下に揺れていました。いよいよ、というときになると分娩台に移動。助産師さんからは、いろいろ体勢を変えてごらん、とアドバイスがあったので横向きにいきんだり仰向けにいきんだり四つん這いでいきんだり。
病院についてから10時間かかったお産でしたが、ストライキのせいなのか、助産師さんが3人も変わり、あまり落ち着きませんでした。特に2番目に来た助産師さんは、分娩室に入ってくるなりレイジーボーイチェアにどっかり腰をおろし夫と世間話まで始める始末!陣痛まっただ中で隣でうんうん唸っているわたしにまで、「そもそもなんでアイスランドに来たの〜?」と話しかけてきて、さすがにイライラ…プライベートの携帯が鳴ったりして、お医者さんにもたしなめられていました。3番目の助産師さんが来たとき、ホッとしたのを覚えています。
お医者さんがきたのは、出血具合を確認するための1回きり。あとは3番目の助産師さんが励まし続け娘を取り上げてくれました。出産後すぐのカンガルーケアで娘を抱っこしている間、後産、縫合、へその緒の切除などを済ませ、娘の体重と頭の周囲を測定。足にインクをつけて足型までとってくれました。そしてこの時にはすでに娘のケンニタラ(=国民ひとりひとりに割り当てられる番号。身分証のようなもの。日本でいうマイナンバーかな?)が準備できて、出産届け終了!役所などで登録する必要もありません(娘の場合、後日日本大使館へ出生届けを出しにいきましたが…)。分娩室で少しだけ休むと、娘と夫と一緒に個室に移動。生まれたのが午前2時すぎだったので、そのまま睡眠をとり、次の朝看護師さんがきて授乳の様子を見てくれました。なかなかうまく授乳できないでいると、看護師さんも心配してくれて、もう1泊泊まっていきなさい、と提案してくれました。(アイスランドでは通常出産から24時間以内に退院)。病院にいる間は、看護師さんが代わる代わるやってきては、授乳の様子をみてアドバイスしてくれ、思いのほか手厚いフォローでうれしかったです。
出産後の朝ごはんはアイスランドの家庭料理のFiskibollur(=フィッシュボール)。カレー風味のソースでとってもおいしかったです。ちなみに入院代も出産もすべて無料。一緒に2泊した夫には後日請求書がきましたが、3,000Kr(=約3,000円)でした。
日本で出産したことがないのでわかりかねるのですが、姉の話を聞いたりすると、日本との違いは、分娩室で笑気ガスを自由に使えることや、出産後24時間以内に退院すること、産んだ直後から赤ちゃんとずっと一緒に過ごすこと、出産届けを出さなくて良い、などでしょうか。正直、24時間以内の退院、と聞いて、なんて非情なんだー!っと思っていたのですが入院中はかなり気にかけてくれ、退院のタイミングも臨機応変に対応してくれたので、安心して我が家に帰ることができました。もちろん、母が家で待っていてくれている、ということもかなり大きかったのですが…
次は~産後のケア編~です。