本当に日本は国の中に全てのものがありますよね。だから比較できる。例えばバングラディシュでは一般家庭にヒーターなんてないから、それが当然だと受け入れているし、それで幸せに暮らしているんです。小学校に行けないのが当然という国もたくさんあります。日本のように、貧富もあれば、物質もあり、ネットで情報に辿り着くことができるインテリジェンスや環境があるというのはすごいことなんです。
比較対象があると二項対立になりがちだけど、私はそもそも二項対立になるにしてもどちらに土台を置けばいいかもわからないようなマーブルな存在。アイデンティティがない。血はバングラディシュだけど、教育や味覚は日本と混じっていて精神的にも近いからどっちという話ではない。
完全に外国人である私が生まれたのは、第三国であるドイツに行ったときです。二つの根元があるから、その国を二項対立じゃない目線で見れるという利点に気付きました。そして自分がよくわからないものであるという証明もされました。日本にいてよく見られるのは当たり前のことだったんですが、ドイツでも電車ですごく見られて。『顔はインド系なのに、しゃべり方もファッションも雰囲気も違っていて何者かわからなくてビックリした』と話しかけられたんです。一緒にいた従兄弟が、ドイツの人が話しかけてくるなんてなかなかないことだから、よほどインパクトがあったんだろうと驚いていました。たくさんの人種がいるロンドンでも、ルックスで振り返られることはないけれど、似たような経験があります。
マーブルであるというのは自分の特徴。完全な外国人でありながら、日本で育ったと言う人はたくさんいると思うんですけど、その違和感を表現した人を私は知らない。だから、なにか形態はわからないけどこれを表現したくて。
いまの26歳くらいからハーフがまわりにいるという環境が普通になってきて、私の世代の21歳くらいの子たちの中では完全な外国人が少ないですが、今後私みたいな子は増えてきていくように感じます。そして私はそのボーダーにいる。
これからそういう「違和感がある人間」が増える中で、そのヴィジョンを表現する先駆けになりたいと思っています。
photo Shuya Nakano
hair&make-up mahiro
model Sharar Lazima
interview & edit Ryoko Kuwahara
https://www.instagram.com/lalazima_/
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